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92、気付いた気持ち ページ42

聞こえていないと思ったのか。
もしくは独り言のつもりだったのか。

私の言葉に川島が驚いたように手の甲で口元を隠した。


「や、なんでもない!」

「なんでもなくない!気になるから言って!」


ついさっきまで狼狽えていたはずなのに、川島の言葉の意味が知りたくてずいっと川島に近付くと。
一瞬唇にキュッと力を入れた川島が、覚悟を決めたように話し出した。


「どうってそのままの意味だよ」

「そのままの意味って…」


座ったままの膝が、小さく震える。


「そのまんまって言われてもわかんないよ!」

言いながら。震える膝を両手でぎゅっと押さえつけた。



そんな私を見据えるように川島が私の前にスッと立ち上がった。




「お、俺は嫌だったから!!
栗原が他の男と歩いているのを見て、すげぇ嫌だった!!
栗原が他の男を好きになるのも他の男のことを考えてるのも…っ
他の男に栗原が触られるのも全部嫌だ……っ!!」




ぶわっと風が吹いた。

砂場の小さな赤いバケツがコロンと転がった。




「栗原も俺と同じじゃないの…?」



風で舞い上がった髪の毛の間から、耳まで赤くした川島の顔が見えた。
 


そして

目が合った途端、川島が困ったように目を伏せた。


「ご、ごめん、俺…っ」


膝の上で握りしめていた手の甲が濡れて、自分が泣いていることに気が付いた。


「ごめん、本当にごめん!
こんなこと言うつもりじゃなかったのに…っ」


顔を隠すことなくボロボロと泣き出した私に、川島がひどく狼狽えていた。


……違う。
違うよ。
川島が謝る必要なんてない。


私、わかっちゃったんだよ。

涼と初めてキスした時、涼に初めて抱かれた時に流れた『涙』のわけが

今、はっきりとわかっちゃったんだよ。



私きっと…川島としたかったんだ。

手を繋ぐのも、初めてのキスも。
初めて抱かれるのも、全部、全部


川島と、したかったんだ……。

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設定タグ:オリジナル , 恋愛 , 青春   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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ユチコ(プロフ) - Blueheartさん» コメントありがとうございます!嬉しい〜( ;∀;)更新頑張ります〜☆ (2018年7月29日 16時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 更新頑張ってください! (2018年7月26日 18時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月16日 12時

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