排球部エースは転生少女《８》 (ページ48)

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◇最後の場所ページ48

「今度、真波君誘って行ってきたら？」

『ん？』

「ケーキ屋さん」

『うん、誘ってみるよー(練習ない日聞かないとだ)』

横断歩道がちょうど赤になり、立ち止まった。まだかな～？青くならないかなぁと信号機を見ながら待つ。さっきも信号を待ってたから今日はよく引っ掛かるなぁ(さっきも赤信号に引っかかった)。そういう日もあるよねー。

『(青になった)』

信号機が青く点灯して右左確認。
車が来てない事を確認して(前世の死因がトラテンなために横断歩道は気を付けている)、私は歩き出すために片足を一歩前に出した。

グイッ。

「湖羽！！」

『！？』

千歳の声がしたと同時に私の体が止まった。驚いて前を見れば、何故か地面と近づきそうになっていた。これはあれかな.....こけた時の体勢だ。ぎゅっとお腹には誰かの腕が回っていて、千歳ではないのがわかる。お腹に回る腕に力を入れられ、左腕を掴まれゆっくりと後ろに引っ張られた。

「なんであのタイミングで転びそうになるの、お前は」

『！』

聞き覚えのある声がして、後ろを振り返ろうとすればお腹に回っていた腕が放れていった。

『兄さん！？』

私服(おしゃれ)姿の私の兄がいた。
驚いて困惑する私達とは違い、兄さんは呆れたように私を見た。「何もないところで転びかけるって何してるの」と溜め息をつかれた。

『ご、ごめん....』

「危なかったのわかる？車来ないの確認してたのに転びそうになって危険だったよ」

『え』

そうなの？と千歳を見れば、ホッとしたような顔をしてから頷かれた。おっと.....交通事故の可能性があったと....？ここでひかれるとかなったら前世と死因が同じになるというものすごく気をつけていた意味がなくなってしまう....。

『ありがと、兄さん』

「マジで気を付けろよ」

『うん』

身長の高い兄さんを見上げる形で頷けば、兄さんの手が私の頭に乗って撫でられた。その感覚が懐かしくて、恥ずかしくて目線を逸らした。

「霜さんは今日なんでここに？」

「湖羽の誕生日プレゼント買いに来た」

本人いるのに言っちゃうんだ。
当日までプレゼントの中身を黙って入れば、オッケーらしい。
　

　

　

　

『(それにしてもこの横断歩道.......一瞬だけ、前世で死んだ最後の場所に見えたんだよなぁ.....)』

　