◇現実だと感じた ページ39
『おはよー』
「おはよう、湖羽」
マフラーに顔を埋めてぬくぬくしながら学校への道を朝から電話しあった千歳と歩いて行く。彼女の顔を見てほっと息をついてしまう自分がいて、自分が思うよりも怖かったんだと思う。
同じ転生者であり、三年以上一緒にいる千歳。
同じ境遇の彼女とは昔から一緒にいたため彼女といれば落ち着くのだ。それは千歳も一緒。分かりやすいぐらいにほっとした表情をした。
「本当に嫌な夢みた.....」
『わかる。覚えてないのにあれは絶対悪夢でさー』
「うん。この世界に転生して初の悪夢で、最悪のお目覚めだったね」
『私も(前世も含めて)過去最悪な目覚めだった』
バレーの試合で負けた時よりも最悪だった.....。
あの目覚めは、負けた試合の最後の瞬間を夢でみちゃうよりも怖かったと思う。ハイキューの澤村が初夢でバレー部がないとかいう夢よりも怖かった........いや、バレー部ないってのは恐怖だな......(震え)。
「学校行こっか」
『うん』
いつも通り電車乗って目指すは残りわずかとなった箱学へ。駅について歩いて行けば、同じようなコートを着ている生徒が歩いている。
「ねえ、湖羽」
『なーに？千歳？』
「今、思い出したんだけどね？」
『うん？』
「今日の数学小テストあった.....」
『......あぁ.....』
何を相談されるかと思ったら、小テストの事だった。寝起き最悪で勉強の事忘れてたみたい。
『休み時間、私の教室に来てくれるんだったら教えるよ？』
「ありがとう！湖羽〜！」
『教えることぐらいなんて事ないよ』
「カッコいい.....」
フフンとドヤ顔してたら千歳の手には携帯があって、カシャッとシャッター音が聞こえた。
『........撮った？』
「........撮った」
『何で？』
「湖羽が珍しくドヤ顔してたから」
『珍しいかな.....？』
「珍しいよ」
私のドヤ顔は珍しいらしい。
「だって、ドヤ顔よりも″おっし！スパイク決まった！″って顔の笑顔の方が多いから」
『そりゃあ、試合でしてる顔はそっちの方が多いね』
スパイク決まるの嬉しいしね？
ついニコッとなっちゃうもの。
ピッ。
「送った」
『え？』
「真波君に送った」
『..........私のドヤ顔に需要なんてあるの？』
「ある」
なんで？？
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2022年12月25日 19時
