◇ツマズイテモ ページ36
「《まあ、一番は湖羽らしくいることや》」
『《！うん....》』
北の言葉に頷き、挨拶をして携帯のボタンを押して、電話を終了させた。千歳に電話を渡す時に「北君が段々湖羽のお父さんに見えてきた」という言葉に「わかる」と答えた。
どこの部の主将や副主将はお母さん、お父さん属性なのかな？
「お前は、北の言うことはわりと聞くよな」
『だって、正論は怖い』
真顔で当たり前のことを言ってくる北。
正論だし、正しいのでしっかりと聞かないとと思います(何故か敬語)。
「その北さん？って人と先輩達って知り合いなんですよね？」
『そうだよ』
「北信介君。男子バレーの強豪稲荷崎高校の主将」
『安定のレシーブと宮達に緊張感を与える引き締めやく(アニメでは、絶望の持続とかなんとか言われてたけど)』
今年初めて背番号をもらったって言ってた。
実際に今年のインハイで北の活躍は観客席からバッチリと観ていた。二年生の大会から出会い、階段事でやらかすと絶対に注意された。なんやかんやで私に注意してくれるのは、ありがたい。本当にいい奴だよね。
『それじゃあ、次はどこに行こうか？』
北との電話も終わったし、まだまだ文化祭は続くのだ。
遊ばないと勿体無い！
最後の文化祭だしね！！
「なら、昨日食べ損ねたりんご飴食べに行こうよ！」
『いいね！それ！では早速レッツゴー！だ』
なんか、千歳と尽八と回ることになるようだが、たくさんいた方が楽しいだろう。
「転ぶなよ！」
『転ばないって！』
「階段では落ちかけるではないか！」
『それはそれだよ！転びはしない。しないけど.....』
ツカッ。
『ｯ.........おっと、.......つまずきはします』
「....はぁ」
お約束のようにこういうことはあります。
あははっ......と尽八を見ていると片手を誰かに掴まれた。
「これなら転びませんよね！」
『！.....そうだね』
真波が私の手を繋いだのだ。
引っ張られるように歩きだし、千歳達は微笑ましく私達を見ている。
『(ここにもいた、お母さん属性)』
恥ずかしく思いつつも、嬉しい気持ちを隠しながら笑顔で文化祭に戻ったのだった。
「甘い....」
「甘いな」
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2022年12月25日 19時
