◇嫌いになっちゃうよ ページ29
受け身をとろう。
そうしよう.....!
ぎゅっ。
「大丈夫ですか!?」
『ぇ....』
衝撃がこない代わりに聞き覚えのある声と抱き締められている感覚。落ちてないとわかる視界。
『え、あ、.....ま、まなみ.......?』
「はい」
『な、なんで....』
「先輩を探してて〜、見つけたと思ったら俺に気づかないで階段下りようとして。.....声をかけようと階段下に行ったら、踏み外して落ちそうになってたのをキャッチしました.....」
『そ、そうだったんだ.....』
私が気づかなかっただけで、真波いたの!?
階段下に!?
「周りをよく見なアカンよ」
またしても脳内北からのお説教。
全く持ってその通りでございますッ.....!!!?
『.....あの、ありがとう.....。真波.....。もう放してもらってもいいよ....?』
「.....そうですね....。でも、俺先輩に聞きたいことあるんで」
『き、聞きたいこと....?』
あ、あれー?
どうしてだろう.....、いつもの彼とは違う感じがする。
なんか、怒ってる....?いや、拗ねてるのか....?
『(でも、当たりかな.....)』
お化け屋敷では、先に入っちゃったし、長い間探させちゃったし.....。面倒くさい奴じゃん。ホントに....。
ぎゅっ。
「さっきもですけど、昨日から先輩変ですよね....?」
『!』
「何か悩みですか?それとも俺何かしちゃいましたか?」
『それは違う....!真波は何にも悪くなくて....』
「なら、もしかしてバレーでの悩みですか?俺、バレー詳しくないから先輩の話聞くだけしかできないですけど....」
『(そうじゃなくて.....)』
「少しでも湖羽さんの力になりたいって思うから....!だから、何かあるなら言ってください.....!」
違うんだよ。
違うの....。
真波は何にも悪くない。
力になれないとかそんなのもない。
寧ろ、頑張れるよ。
君といると楽しいよ、嬉しいよ。
ぎゅっ。
「!」
ゆっくりと真波の背中に両腕を回して、力を入れて抱き締める。顔を下に向けて、見られないようにぎゅっと押し付けた。
「先輩?」
『.......言ったら、真波......私のこと嫌いになるよ』
「え?」
どういう事?と私の言葉の意味を知らない真波は不思議そうな表情をした。
90人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夏菜沙 | 作成日時:2022年12月25日 19時