◇似合ってるって言われると ページ20
『お帰りなさいませ、お嬢様方』
教室の扉から入って来たお客さん(女子生徒)にお決まりのセリフを言って向かい入れる。メニュー表を持って、空いている席に案内して、メニューを渡す。
「東堂すごい人気だね」
『さすが、美形クライマー』
尽八が人気なのは最初から分かってた事で、荒北や桜良という顔面偏差値高い組が揃っているうちのクラスはお客さんがたくさんで大盛況。
「美園先輩、写真いいですか!」
『あ、うん、いいよ』
後輩の子達と一緒に写真を取る。
チラリと見えた視界の端には、尽八がいつものキメ顔で後輩の子達や多分ファンの子達と写真を撮っている。本当に人気だなぁ、尽八。写真を頼まれて、対応して、注文を伺って接客して行く。
「湖羽ー!」
『んー?』
桜良に呼ばれて、そちらの方を振り向けば見慣れた二人がいて、珍しい組み合せだなーと思いながら入口の扉に歩いて行った。
『お帰りなさいませ、お嬢様、ご主人様』
「!」
「湖羽さん!」
『来てくれたんだね?ありがとー、二人とも』
お決まりの台詞を言ってからいつも通りの口調に戻す。メイド・執事喫茶なのでちゃんと役作りは大切だ。「お席にご案内しますね?」と誘導して席に案内する。
「メイド服とっても似合ってます!湖羽さん!」
『ホント?それはありがとー』
「後で写真撮ってもいいですか!?」
『いいよ(テレるけど、彩芽楽しそうだし.....)』
どこから取り出したのか普通のカメラを取り出した彩芽に驚きながらも頷く。携帯のカメラで撮ると思ったのに電気屋さんで売ってるカメラ持ってきたんだ......。
「(彩芽は湖羽の事になるとちょっと止まらなくなるからな.....)」
嬉しそうな彩芽がカシャカシャとシャッター音が鳴った。
「真波君も湖羽さんのメイド服姿綺麗ですよね?!」
『!』
さっきから何も言われず黙っていた真波に視線を向ける。私も気になっていたのだ。何にも言われなかったから似合ってないのかと思ってしまう。他の皆には似合ってると言われるけど、ほら.....やっぱり.....好きな人から見てメイド服姿が似合っているかは気になるものだ。
『どーかな?似合わない?』
「いえ!スゴイ、似合ってます!」
『ホッ)良かったぁ』
似合ってなかったらどうしようかと思ったよ。
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2022年12月25日 19時