◇演劇は姫役 ページ11
何をやるのか気になると千歳に聞くと、なんとも微妙な表情をした。え、何？そんなにも言いづらい事なの？？じーっと見つめると渋々と本当に渋々と視線を逸らしながら答えてくれた。
「あ、あぁ...........えーと..................き(ﾎﾞｿｯ」
『？』
何だって？
聞こえなくて、もう一回耳をすませればぼそぼそとだけど教えてくれた。
「........げき」
「げき？」
「っ.....演劇！」
「演劇か〜！」
『何の役やるのー？』
「.....ひ、姫役.....」
『お疲れ様です』
思わずそう思ってしまった。
姫役とは、ステージに立って演技しないといけないじゃないか！た、大変だ.....！嫌すぎるぞｯｯ！！
「最初は裏方がよくて、衣装とか作りたかったんだけど、それは被服部の子達にとられちゃって.....」
『.....投票で、姫役に？』
「推薦だったよ」
「「あぁ.....」」
その場面、想像できてしまった。
千歳モテるし、美人だし皆見たかったんだろうね。
「私のクラスのはいいとして、棗ちゃんのクラスは？もう聞いちゃった？」
「聞こうとしたら、千歳さんが来たので今聞くところですよ」
「そうだったんだね。タイミング悪かったのかぁ〜」
棗ちゃんに謝り、興味津々に彼女のクラスの出し物を聞こうとしている。
「私のクラスは、クレープを売ることになりました！」
「美味しそう.....！」
「でも、クレープって生地が難しいよね」
「わかる〜！」
鳴海ちゃん達は去年クレープを売ったのだ。すごく練習して、クレープの生地が上手くなっていた。調理部の子達が腕によりをかけて、作ってたなぁ。
「いろんなトッピングとか、種類を用意する予定です！！」
『楽しみだねー』
絶対に行こう。
最近、クレープ食べてなかったし。
「あの湖羽先輩」
『ん？』
「もしかして、真波から聞いてました？クラスの出し物.....」
『ううん、聞いてないよ。クレープの模擬店かー』
真波から聞こうかな〜？と思っていたのはお昼まで。
彼、自分のクラスの出し物知らなかったから。棗から聞けてラッキーちゃラッキー。
「よし！皆、体育館行こう！」
『はーい！』
「春高、近いですしね！」
「早く練習行きましょ！」
文化祭の話を終わらせ、私達は部室を出た。
春高まであと一ヶ月もないからね。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2022年12月25日 19時
