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大役も端役も舞台に上がる ページ37

出会いは突然だった。
アタシと彼が会ったはテレビ局。
作者が監督と何か話をしていた。
脚本を覚えるのに集中していたから見向きもしなかったし、作者の顔も知らなかったけど、出てくる言葉で集中の糸を容易く切った。

監督の作品に対する不満の言葉だった。

視線を素早く向けると、雪のような綺麗な髪をした子がいた。
監督は、真っ向から拒絶され作品の低評価を貰ったのはこれが初めてらしく肩を落とした。
それから監督は作品をよく見直そうとするようになった。
監督は不思議そうに、資料を調べている作者を見た。

作者は監督とは違って親近感と明瞭度が強いネージュを主役に抜擢(ばってき)する事はしなかった。
アタシを主役にした事はあった。
自分の夢である念願の主役には喜んだわ…でも何故ネージュを脇役にも満たない役をやらせているのか分からなかった。
だから問い詰めるように言った。
ヴィル「何故ネージュを端役(はやく)にしたの?」
カウンターに座る作者のDは淡々とまるで問題を解くかのように言った。
D「彼に端役が合っていたからです。」
ヴィル「合ってる?ネージュは長く子役として活躍していた事をアンタ知っているでしょう?なら大役の方が良いじゃないかしら。」
Dは読んでいた資料を閉じて窓から群衆を見つめる。
D「ネージュ・リュバンシェは実力者でありますし大役は合います。」
Dはアルファベットの立方体の積み木を一つずつ話しながら置いていく。
D「端役はいなくても良い作品は出来上がります。重要役とは言えないですからね。
しかし、大役には無い能力を端役は持ってます。引き立て能力です。」
ヴィル「引き立て能力?」
D「賑やかに演出するなら端役が騒ぐ、恐ろしく演出するなら端役が叫ぶ。大役は柱ですから人数が少ない分インパクトが強い、裏を返せば補助出来ない存在です。
端役は消えてしまえば印象が薄くなる…隠し味の存在です。」
積み木は均整のある城になった。
D「だから、最後まで舞台に立てなくても印象に残ります。端役のお陰で。分かるでしょう?例えそれが押し殺す役でも無ければ盛り上がりません。」
アタシは質問を変えた。

ヴィル「何でアタシを主役にしたの?」
Dはこっちを向いて刺すように言った。



「貴方がネージュ(主役)を眠らせるからですよ。」


Dが部屋から出てドアを閉める間呆然とした。
ドアの向こうでは監督がネージュを主役にした事を叩くDの声が響く。



でも、これだけは言える。
面白いわ。

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作品ジャンル:ファンタジー
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たろ。(プロフ) - パ、パ、パ、パパぁ!!!!! (2022年7月7日 15時) (レス) @page9 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柳玲霊鑑 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/be moon  
作成日時:2021年11月28日 19時

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