従者の熟慮とは ページ17
俺の一日は早朝に起き着替え、髪を結んで料理する。
カリムを起こして、ターバンをしておく。
食器洗いしたら掃除に洗濯をする。
自由時間は適当に本を読んだりしている。
相変わらずカリムに引っ張られる毎日だが、以前のような息苦しさを感じない。
自由ってこんなにも解放的なんだな。
出会って以来、俺達とAは遊ぶ仲になった。
そうだ、俺はコイツのおかげで夢を叶えられたんだ。
最初は観光客で金持ちの奴等を知っている妙な奴だった。
だが、俺の警戒心が解かれたのはAが俺の父親に会いたいと言い出したからだ。
金持ちの方に興味を示さずにいるAを得体の知れない物を見ている気分になる。
俺の父親と何か話をした後に、Aはカリムに袋の中に入るよう言った。
予想外だ。
理由はサプライズの為らしい。
呆然とした。てっきり、堅い性格だと思っていたが違った。
カリムは面白そうに賛成した。
相手は俺の父親で、海の中へ一緒に入ってから帰って来た時に登場するという単純なサプライズだ。
父親には袋が破かないようにと忠告して海へ入る。
俺は留守番だ。
"能天気"そう思っていたが、それは間違いだと気づいたのはカリムが袋から出て烈火のように怒っていた時だ。
カリムは、ずっと俺が力を抜いていたのは父親の言葉のせいだと知った。
父親は顔を青ざめて謝り、部屋へ入って行った。
カリムは半泣きで「ジャミル、ごめんな。俺…気づいてやれなくて。」と言った。
そして、Aに感謝する。
ジャミル「Aが父親に聞き出したのか」
カリム「違うぜ、別の人が聞き出したんだ。今更だがA、なんでジャミルが手加減していると分かったんだ?」
俺はその発言に硬直した。
Aは変わらず平静な顔で「何故、そう思ったんですか?」と言った。
カリムは笑顔で「勘だ。」と言った。
A「妙に感じたのはテスト結果、ずっと従者が主人よりも下の成績。従者のおかげで高成績なのに、その従者が劣るって変に感じたんです。」
俺は一つ気になった事を聞いた。「何故、カリムを海に一緒に連れて行ったのか」と
A「人良しの事です。原因が分かったら黙ってませんよ。」
初めから分かっていた。
コイツは従者が優秀であると察して、上に出ない原因を考えた。考え出した先は親だ。
原因を叩き出して主人であるカリムに聞かせる。
そうする事で現状が変わると解いた。
人を利用したんだ。
小狡いペテン師よりも賢いと思える。
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たろ。(プロフ) - パ、パ、パ、パパぁ!!!!! (2022年7月7日 15時) (レス) @page9 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柳玲霊鑑 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/be moon
作成日時:2021年11月28日 19時