春紫苑 (ページ15)

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午後3時

ご飯に誘われたって言う割には早い時間な気がしたけれど

待ち合わせをしていた駅にはもうすでに先輩がいた

『すみません、お待たせしました！』

｢いや、今来たところだから｣

そんな、ドラマのようなセリフも様になる先輩は

いつも通りかっこいい、いやいつも以上かも

『ごはんまで、時間ありますね！どうしますか？』

｢そやな、ちょっと早かったな｣

『映画とかどうですか？』

｢ええな、映画。俺、見たい映画があるんよ｣

『なんですか？』

｢この映画なんやけど｣

それは今話題のホラー映画だった

ホラー苦手だけど、正門先輩が少年のように目をキラキラさせるほど見たそうにしてたから、なんか新鮮で

『おもしろそうですね！』

｢ほな、行こ！｣

いつもは、大人っぽくて落ち着いてる正門先輩が

なんだが可愛くて、こっちまで嬉しくなった

“ 今日はいつものお礼やから ” って

私がお手洗いに行ってる時にチケットを買っていてくれた

｢俺な、ホラーとか怪談話とかホンマに好きなんよ！でも大吾はホラー苦手言うてて、中々この映画見る相手いなかったからよかったわ｣

『そうなんですね…。』

｢もうすぐや、楽しみやな｣

始まった映画は、物語としては凄く面白いんだけど

やっぱり怖くて、声を出しそうになってしまう

ひじ掛けに手を置くと、正門先輩と手がぶつかってしまった。

その手をどかそうとした時に

正門先輩に手を繋がれた

手に意識が行き過ぎたせいで、映画の内容をほとんど覚えられない状況だった

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