手のなる方へ ２

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「＿＿これだけは、切らしちゃマズいものねぇ」


そう肩を竦めながら言うリナさんの目線の先には、先程の化粧品を売っていたお店の紙袋
スキンケアグッズに加え、コスメ用品も大量にストックを買い込んだ
その理由は


「…ゴメン、リナさん。まだ、ちょっと…」


無意識に自分の目元をそっと触れる
隠さなければいけないモノが、隠さなければいけない理由がココにある


「やぁね。謝る必要なんてないわ。これは時間をかけて改善していく他ないものだから。それに…」


そう言いながらリナさんの手が私の左腕に触れる
ダラリと伸びたままの腕がピクリと動く


「それより先に、こっちを完治させないと。包帯が外れたとはいえ、神経も握力もまだ元には戻ってないのよ？」

「片手生活も、だいぶ板についてきたと思わない？」

「それはそれで問題だわ」


お互いに向き合って笑い合っていると、不意に右手に持っていた紙袋が手の中から消える
驚いて振り向くと、そこには相変わらず満面の笑みを浮かべたエースの姿があった


「エース」

「楽しそうにやってんなー。重いだろ、待つよ」

「え、でも」

「お前相変わらず人に頼るの下手くそだな。こーゆー時は頼っていいんだよ！」

「え、あ…あ、りがと…？」

「ん」


私の言葉に満足したようにニカリと笑うと、エースはスタスタと先を歩き出す
それを追いかけるように小走りで追いつくと、疑問を投げかけた


「ねぇエース！自分の用事とかはいいの？」

「あ？俺は今日は自由行動だよ。それにマルコに言われたんだよ。見かけたら一緒に行動してやれってな」

「え？なんで？」

「ここは治安は悪くねぇけど、絶対じゃねぇからな。うっかり絡まれたらお前、自分を囮にしてリナを逃すだろ」

「うっ…そ、それは…」


やらないとは言い切れない
何あの人、この短期間でそこまで私を分析したってのか


「…おたくの長男坊様はキレ者ですなぁ」

「分かる。あんな頭してンのにな」


エースの言葉に思わず吹き出す
やめて、突然ぶっ込んでこないで対処しきれない

思い出されるのは、マルコさんのあの特徴的な髪型
いつからああなのかは知らないが、あれはどう見ても


「…パイナップル……」

「あ、言ったな？俺言ってねぇからな！マルコにチクッてやろ！」

「え！？ちょ、狡いー！！エースが連想させるような事言うからじゃん！！」


だはは、と笑うエースに慌てて口止めをする
そのやりとりを優しく見つめるリナさん

この関係、悪くない

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