手のなる方へ ２

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理解、してしまった
だからもうこれはアレだ

＿＿私の、完敗だ



「いや待てよマルコ！
許すって言ったって、またアランみてぇに本気になったらヤバいだろ！？」


マルコさんの言葉にエースが慌てて止めに入る
だけどマルコさんはそれを一瞥しながら、またニヤリと笑った


「あ？そん時はそん時だろぃ。その場にいる誰かが止めろぃ。
…まぁA相手に本気でやりにいくバカはもういねぇと思うがねぃ」


本気で心配するエースと、本気で心配していないマルコさん

なんだろうな、この二人を見ていると意地張ってるのがホントにバカらしく思えてくるから不思議だ
二人のやり取りを見ていて思い出したのは、かつて弟としていたやり取り

…あぁ、兄弟ってこんな風に言いたい事言い合ってたっけ

あの頃の記憶を今の二人に照らし合わせてみたら、なんだかとても込み上げてくるものがあって
それが溢れ出さないように慌てて俯くと、それに気付いたイゾウさんが近付いて声をかけてきた


「…お嬢。どうした」


イゾウさんが心配した表情で自分を覗き込んでくる
だけどそれを見られまいと、こちらもさらに顔を背ける
するとそれを不思議がってイゾウさんがまた覗き込んでくる
まさにイタチごっこ
そんな私達の横ではマルコさんとエースはまだ言い争いを続けてる


なにこの構図


そう思った瞬間、とうとう堪えきれなくなった



「………ふ、」

「…？お嬢？」

「……ッ、プフ…ッ！

_＿＿ぁはははははっ！！なにそれもうワケ分かんない！！」


突然腹を抱えて笑い出す私に、隣にいたイゾウさんも言い争いをしていたマルコさんとエースも、それを止めようとしていたサッチさんも、全てを傍観していたリナさんも

その場にいた全員が驚き目を丸くしていた
だけど今の私にはそんな事構っている場合なんかじゃなくて
可笑しくて可笑しくて仕方がなくて、笑いを止めるのに必死だった


「えーっと… A、ちゃん？どうしたの急に」


フリーズからいち早く戻ってきたサッチさんが恐る恐る声をかけてくる

そりゃそうだよね
イキナリ声を上げて爆笑し始める人間なんてのは、ロクな奴じゃない
でもきっと、この人達はそれすらも容易く受け入れてしまうんだろうな

ホントにもう、バカバカしくなってくるよね
だからもう私もさ
意地張るのはやめようかな、なんて


「フフッ……あーもうホント…おかしすぎるよ皆…。
ダメだ、もう敵わないや。負けた！！」


仮面を外してしまおうかな、なんて

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