手のなる方へ ２

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宴から一夜明けて、本日
何故私は朝から走り回らねばならんのか


「…何なん！！今日は一体何なの！？」


全力疾走で船内に入ると、足は止めずに目的の部屋へと走る
目当ての部屋のドアを勢いよく開けるとバタンと大きな音を立てて閉めた
肩で息をする自分の目の前には、机に向き合いながらクツクツと肩を震わせて笑うマルコさんの姿があった


「マルコさんでしょ！？エースに変な事言ったの！！」

「クククッ…いやぁ俺は何も言ってねぇよぃ」

「嘘！！」

「…あぁ、今日は俺が相手してやれねぇから寂しそうにしてたらよろしく…とは言ったかねぃ？」

「言ってるじゃないですか！なんかそれエースが捻じ曲げて解釈してますけど！？
なんで相手をする、が鬼ごっこになっちゃうワケ！？」


子どもか！！とツッコミを入れたところでマルコさんは盛大に吹き出した
なんでこの歳にもなって本気で逃げ回らなければならないのか
すごい勢いでやってきたエースに思わず逃げ出した私も私だけど
そして皆さん、忘れてるようなので今一度言うが

私、絶賛怪我人なんですよ


「いいじゃねぇか。楽しいだろぃ？」

「よくない！！」

「ははっ、まぁいっぱい動いて運動して、夜はよく眠れるよぃ」

「ちょっと！！私が寝れないの知ってるくせに！！」



あの日、言われた言葉に頭が真っ白になって
うっかり肯定してしまった自分を恨む

かと言って無理やり寝かせようとか、誰かに言うとかはされていないけど“秘密を握られてしまった”という気持ちは捨てられない
なんなら、それを手玉に何かあるんじゃないかと疑ってるくらいだ


「もーホントにエースになんとか言ってくださいよ！走り回りすぎて倒れる！」

「おー、寝ろ寝ろー」

「他人事！！無責任！！」


その時バタバタと廊下を走る音が聞こえてきた
さっきまで散々聞いていた足音に、ヒッと声を上げてマルコさんの座る椅子の裏に隠れた
それと同時に開けられたドアからは、来て欲しくない人物が顔を出す


「マルコ！A知らねぇ！？」

「あー、Aならここにいるよぃ」

「！！鬼！！」

「よっしゃ！！」


叫びながらバタバタと走り去る二人に半分呆れながらポツリとマルコは呟いた


「こんなんで寝られるなら…いくらでもやってやるさ。…でもお前はそうじゃねぇんだよなぁ。

お前が心を開いてくれるのはいつになるかねぃ… A…」


手を伸ばした煙草に火をつけ咥えると、遠ざかっていく足音にボンヤリと耳を傾けた

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