守備の才能 ページ7
.
影山「大丈夫です。天野さんなら取れるんで。」
貴「いやどこからそんな自信、」
影山「いやまさかとは思いますけど、取れないんですか？」
貴「………。」
あ、これは煽られているのだなと瞬時理解した。根拠もない自信で満ちている影山をおかしいとは思っていたが、なるほどそういう企みか。
こちらを挑発するかのように寄せられた眉とあげられた口角。いくらなんでも狙いがミエミエでわかりやすすぎる。
流石の僕も、こんな挑発に乗るわけ、
貴「取れないわけないじゃん。」
田中「ゑェ…？？天野お前いつからそんなにチョロく、イデデ！！」
いや、乗らないわけないでしょ。だってムカつくし。
隣で信じられないものを見たかのような声を漏らした田中の足を踏みつけてから、キッと影山を睨みつけ鼻を一つ鳴らして影山に踵を返した。
田中「イッテェ……おい影山大丈夫か？変に天野のデリケートな部分つついたっぽいけど。」
影山「………クッ……睨む天野さんもカッコいい…！！！」
田中「重症患者入りマーース！」
自分のポジションに立って、ただ東峰先輩から打たれるサーブのイメトレをしっかりとする。周りの音は遮断されてしまって、僕の耳にはすっかり入ってこなかった。
……でも流石についカッとなって大口を叩きすぎた気がする。取れなかったらいい笑い物だ…。
一瞬の集中も束の間、つい先ほどの不安がフラッシュバックしてきてまたブルーな気持ちになってしまう。あー、と唸りながら眉間に皺を寄せていれば、主審のホイッスルが鳴った。
そうだ、こうやってすぐネガティブな思考になってしまうのは僕の悪い癖。一年前と何も変わっていない。
気合を入れるために太腿を一度軽く叩いて、気を引き締めた。
さァ、こい。相手をしっかりと見据えて、サーブのフォームを見逃さないようじっくりと見ながら心の中でそう唱えた。
ドン、と強烈なサーブを放つ音がして、こちらのコートに向かって飛んでくるボール。弱いところを狙いに行ったのか、僕の左隣の月島の元へボールは一直線に飛んでいった。
月島「うわっ、」
貴「どけ！」
心の底から嫌そうな声を漏らした月島に、反射的にそう大声で叫んだ。月島は一瞬驚いた表情をしたあと、命令通り身を引く。
腕が弾き飛ばれそうなほど強い衝撃が腕に当たって、目の前から衝撃音が聞こえたかと思えば次の瞬間にはボールは空中で弧を描き、そして影山の手元へと向かっていった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1849人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨智よゐ(プロフ) - たまごのこのこさん» わ！！確認遅れて申し訳ありません…！！支援絵ですか！！？ありがとうございます！！！(開いた瞬間の大迫力の「好き」に思わず笑ってしまった) (2022年8月13日 12時) (
レス) id: 6395fe5fe1 (このIDを非表示/違反報告)
たまごのこのこ(プロフ) - http://uranai.nosv.org/uploader/common/d/e/a/dea2858fab2cad5e4e674356809de6f7.png描いたのですが、これで見れるのか分かりません…大丈夫ですかね (2022年8月12日 23時) (レス) id: 96153f3877 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 雨智よゐさん» ﾎｧｯﾊｧｯｯｯｯｳﾚｼｲﾃﾞｽﾞｯ…了解いたしました‼(ハァト)(ネットリ) (2022年8月12日 0時) (レス) @page49 id: 1f05e382be (このIDを非表示/違反報告)
雨智よゐ(プロフ) - はるさん» はる様の描く天野が大好きですので…強いて言えば、はる様が2枚目に送ってくださったポケットに手を突っ込んでいるあの構図が大好きです！！完成待ってます(ハアト) (2022年8月12日 0時) (レス) id: 6395fe5fe1 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 雨智よゐさん» アッ雨智ｻﾝｯ…雨智さんの天野くんイメ画にしますか！それとも他の読者様の絵でこの人のがいいとかってありますかね！(( ͡° ͜ʖ ͡°)ｶｻｶｻ (2022年8月12日 0時) (レス) id: 1f05e382be (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨智よゐ
| 作成日時：2022年6月16日 0時
