【HQ!!】千鳥山出身、烏野の脳VII【男主】

譲り合い ページ5

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東峰「っ…」



耳が洗われそうなほどまっすぐで濁りない言葉に、東峰先輩が言葉を詰まらせた。どこか泣きそうな表情だ。


「だから俺はこっちに入るよ」と、未だこちらを振り返らない菅原先輩は影山にそう言った。


菅原先輩が動くのは、影山にセッターを譲るというわけではなかった。東峰先輩とのトスの練習をするために、あえてあちらを選んだのだ。

優しくて強い、菅原先輩らしい考えだ。それを把握した途端、影山の肩の力も少し抜けた。


菅原先輩はようやく肩越しにこちらを振り返り、いつもの優しい笑顔でにこりと笑った。負けないからな、と少し嬉しそうに話す菅原先輩に、影山も挑戦的に笑う。


…さて、セッター問題は解決したようだ。それを見届けてから、僕は目の前の人物と向き直り話を再開させた。



貴「というわけでさ縁下。ほら、レギュラーチームの方入って。」


縁下「レギュラーは天野でしょうが、馬鹿じゃないの？」


貴「いやいいよ、僕ちょっとゲーターにドリンク補充してくるからさ。」


縁下「あっ、清水さーん天野にスポドリ一本お願いします。」



そうじゃない、と内心吐き捨てた。僕らはお互いに「お前いけよ」と言える日本人です。いやまぁ「お前いけよ」と言いながらも譲り合っているため、やはり礼儀のある日本人と言われるのか…そこは謎だが。


言い忘れていたが、今日はかなり暑いのだ。話すことすら億劫に感じるのだから、この蒸し暑い体育館の中でバレーボールなんてしたら死者が出る。僕なんか明日体調を崩すこと不回避なため試合に出たくない。
縁下は暑いとかそういうのじゃなく、単純に僕に譲ろうとしてくれているのだろう。その優しさ今いらないです。

頑固な縁下と静かにあーだこーだ言いながら仕事を押し付けあっていれば、部長からの鉄拳が飛んできた。



澤村「遅い、お前ら待ちだぞ。こっちコート天野。」


貴「……泣きそう………。」


西谷「なんだって！！それは大変だ！！さぁ俺の胸に、」


貴「きつい。」


西谷「ハイ。」




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