【HQ!!】千鳥山出身、烏野の脳VII【男主】

憧れ ページ12

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一瞬静まり返ったが、次の瞬間ドワァッと歓声が沸いた。…と言っても観客という観客はおらず、コートの中の人たちから沸いただけだが。

その歓声を一身に浴びた東峰先輩は、照れ臭そうに後頭部をかいていた。
するとそこへ西谷がぐいと近づき、人差し指をぴんと立てて仁王立ちした。



西谷「全然ジャンプできてないんじゃないですかっ！？1ヶ月もサボるからっっ！！」


東峰「うん…すみません……」


菅原「キビシーな〜西谷」



そんな西谷の説教により、さっきのスパイクはなんだったのかと言うほど一瞬で頼りない小さな背中に戻ってしまった東峰先輩。それを聞いて隣で菅原先輩がカラカラとお腹を抱えて笑う。

久しぶりに見た、いつもの(・・・・)光景だ。ネットに阻まれてこれ以上向こうに近づけないというこの状況が、妙に歯痒く感じた。



日向「影山と月島と田中さんの３枚を吹っ飛ばした…あれが…エース…！！」


影山「おいエース見たい見たいって言ってただろうが、ビビってんじゃねぇぞ。」


日向「ビッ！？ビビってねえよ！！」



東峰先輩の豪快なスパイクを見て、こちらの変人コンビの導火線にもしっかり火がついたようだ。


なかなか煽り性能が高い影山がはんっと鼻で笑いながら日向に話しかければ、日向はまんまと煽られギャンッと影山に噛みついた。こちらはいつも通りの流れに田中ですら呆れている。



日向「俺にだって出来るし！次は俺の番だ！！」


影山「お前が打てんのは俺のトスがあるおかげだろ。」


日向「ぐぬぬ…！！」



勝ち誇ったような顔をする影山、あれは見ているこちらもイラっとくるほどいい顔だ。

月島と同じようにみんなの輪から少し距離を置いて、流れ弾をくらわないように必死に影を薄くする。

影山の性格の悪さと日向の単純さ故にもうそろそろ殴り合いの喧嘩が始まりそうだったが、澤村先輩の一睨み(笑顔)が効いたおかげでその場は収まった。



澤村「ベテランの町内会組に加えて旭も復活ってなると、いよいよ俺たちが厳しいぞ。」



ネットの向こうを優しげな眼差しで眺めた澤村先輩は、振り向いて僕らにそう言った。「厳しい」とは言っておきながら目は少年のように爛々としていて、口角はほんのり上がっている。

やっぱり、東峰先輩と菅原先輩の復活が嬉しいのだろう。澤村先輩はどこまでも仲間思いだ。




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