【HQ!!】千鳥山出身、烏野の脳VII【男主】

コートを殴る ページ11

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東峰「スガーーーッ！！！！」



しかし。菅原先輩が嶋田さんという男性の名前を呼び終えるよりも先に、東峰先輩が言葉を被せた。


普段は温厚な東峰先輩からは考えられないほど大きく力強い声であった。見た目も合わせればとても怖い。

そんな大声で、菅原先輩は弾かれたように顔を上げた。



東峰「もう一本！！」



先輩は大きく片手を上げて、ついにトスを呼んだ。
すでに助走距離は確保していて、もう準備万端といった様子だ。

きっとその時の東峰先輩は、誰よりも打つつもりだったと思う。トスが自分に上がると信じて疑わなかったのだろうか。


そんな一回りも二回りも逞しくなったエースの声に、菅原先輩は噛み締めるような声で彼の名前を呼んだ。

次の瞬間その手からは、美しく丁寧すぎるほど綺麗なトスが上がった。
一見すればただのレフトオープン。単純なトスとも言えるだろう。

しかし。ネットから少し離れた、高めのトス。一切の回転もない、止まっているかのように錯覚するボール。

僕たちは知っている。このボールは東峰先輩の一番得意なトスで、菅原先輩が何度も何度も上げてきたトス。


……あぁ、なんか、泣きそうだ。



月島「君向こうのチームに肩入れしてんの？悪いけどまた止めるよ。」


影山「当然だ。手なんか抜いたら何の意味もねぇよ！」


田中「おい来るぞ！せー、のっ！」



田中の掛け声により揃って跳び上がった３枚のブロック。きっと、今日の試合の中で一番完成度が高い。

しかし、東峰先輩の表情は固まっていなかった。ほんのりと口角は上がっていて、何だか楽しそうだ。


大きく胸を張って、しっかり膝を折って、真っ直ぐに左腕を伸ばす。何度も見てきた、東峰先輩の力強いフォーム。

久しぶりに見たそのフォームは恐ろしく綺麗で、僕は一瞬その姿に見惚れてしまった。


そして、次の瞬間。


彼の手から放たれた強烈なスパイクはブロックを弾き飛ばし、その勢い失わぬままボールはコートをぶん殴った。



貴「……かっこいいよ、先輩。」



そんな僕の呟きは、誰かの耳に届いたのだろうか。




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