【HQ!!】千鳥山出身、烏野の脳VI【男主】

化け物 ページ18

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ブチギレた田中はすこぶる調子が良かった。怒り任せにスパイクをばかすこと決めていくのを見て、あれはダウンを入念にさせられるやつだと遠い目をする。馬鹿は自分で限界がわからないから面倒くさい。

しかし田中のスパイクが決まっているのは事実。調子のいい彼に引っ張られるように日向もどんどん点を稼いでいって、幽霊部員と化しているエースに少しは見習って欲しいくらいだ。


勢いは止まることを知らず、徐々に徐々にと均衡を崩してゆく。向こうと3点差がついた時、気がつけば僕らはマッチポイントだった。



金田一「っ、調子に乗るな！！」


月島「！ ッチ…。」



しかし流石に一筋縄とはいかせてくれないらしく、金田一がはなったスパイクにより点差は再び2点差に。ドンマイ月島、ナイス金田一と声がかけられるコートを見て、青城のベンチが動いた。



田中「？なんだ？」


貴「選手交代みたい。入るのが…及川徹？」


日向「エッだっ、大王様！？」



国見と交代してコートに優雅に入ってくる及川。まさかピンチサーバーで投入されるなんて。

アップをしていると聞いていたからいつか出るんじゃないかとは思っていたけど、この終盤の終盤で、しかもピンチサーバーとして来るなんて計算外だ。予定が狂った。


及川がコートに入った途端顔を変えた青城の選手に多少びびっていれば、エンドライン付近に立った及川はスッとこちらを指さした。


指が向いているのは僕の方…だが、彼の目は僕を見ていない。多少横にずれて様子を見てみれば、どうやら指をさしているのは僕ではなく、僕の後ろの月島であることがわかった。

わけがわからず首を傾げる。月島の反応も見てみるが、月島もよくわからない様子だ。何がしたいんでしょ、彼…。


みんなで目を見合わせて困惑していたが、助走の音が聞こえて我に返り腰を落とした。影山と同じような綺麗なフォームで跳び上がった及川の手から放たれる、鈍いドッという音。


絶対人間から発せられる音じゃないでしょ。なんでボール打ってあんな爆発音でるんですかって。おかしいでしょ、おかしいでしょ絶対。


ぶわぁぁっと一気に冷や汗が吹き出して体が動かなくなる。そして気がつけばすぐ近くに、ボールが迫ってきていた。


しかし僕じゃない、僕が獲るには高すぎるボール。

少し横にずれながら後ろにいる彼の名前を呼びレシーブを託す。しかし月島は小さなうめき声を上げた後、大きく横にボールを弾き飛ばした。




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