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笑顔を秀一に向ける明美さんと、そんな彼女を優しい眼差しで見ている秀一。そんな二人を見て私が思うのは一つだ。
(今、二人の世界を作るのは止めておくれ……。声掛けづらいだろ。シェリーが待ってるんだけど……)
だ。えー……どうしろと?と困惑していれば「うぉっほん!」と、阿笠さんの咳払い。それに二人は同時に顔を阿笠さんに向ける。
「志保くんが待っとるんじゃろ?行かなくていいのかな?」
「いけない!そうですよね!」
阿笠さんの言葉に腰をあげる明美さん。それに続くように秀一が「行くか」と腰を上げた。けど
『みゃ!みゃう(待った!秀一はダメ)』
「ん?」
秀一のズボンを咥えて引き止める。私の言いたいことがわかったのか、「案内はAに頼むか」とソファに腰を下ろす。何で秀一はダメなのかと言うと、シェリーが「あの人は置いてきて」ってジト目向けてきたからだ。私が見てない間、秀一はシェリーに何をしたの?もう。仲良くしなさい。
明美さんを引き連れて、先程通った地下への通路を歩く。誰に対しても思うけど……歩幅……。ごめんよ……。私に案内役は向かないと思う……。でも頼まれちゃったから。許しておくれ。
「ねぇ、Aちゃん。志保は元気だった?」
『みゃ(元気)』
「……寂しい思いをさせたと思うの……。お父さんもお母さんも居なくなって……二人っきりの家族になった。それだけじゃなく……私もつい最近まで、あの子に死んだように思わせていたでしょ……。だから……」
明美さんの言葉を聞きながら、シェリーの部屋へと進む。明美さんが廊下の途中で立ち止まってしまったことも気付きながら。私はシェリーの部屋の前で立ち止まり、明美さんへと体を向ける。そして
『みゃう。みぃみぃ?(それは本人と話すことだよ。その質問に私が答えたとしても、明美さんは納得出来ないでしょ?)』
するりと半開きの扉へと体を滑り込ませる。シェリーは扉に体を向けた格好で固まっていた。表情も。そして私を見た瞬間に椅子を反転してしまい、背中を向けられる。めっちゃ緊張してるのが見てとれるな。さっき解したのに、一人でいる間に逆戻りか。
内心で苦笑を漏らし、シェリーの足元に近付く。彼女の足を自分の前足で数回ぽんぽんと叩く。そうすればシェリーは椅子を横へと動かして私に体を向け、両手を伸ばし抱き上げて膝の上に乗っけられる。
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雪丗(プロフ) - こっちゃむさん» そうなんです…安室さんにまで頼ったのに…。しょぼーん…です。癒しをー!頑張ったね!ってわしゃわしゃしてくれる方募集します(笑)ありがとうございます!続編もよろしくお願いします!(*^^*) (2019年6月20日 22時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃむ(プロフ) - 夢主さんのふんだりけったりな感じ、いろいろと切ないですね(TT) 安室さんにまで協力要請して頑張ったのに!最終的に赤井さんに怒られるという… 誰か、癒してあげてー!と叫びたくなりました。続編も引き続き応援させて頂きますからね!よろしくお願いします!(^^) (2019年6月20日 19時) (レス) id: d587bb3c17 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 桜ひかりさん» 応援ありがとうございます。頑張らせて頂きます! (2019年6月4日 23時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
桜ひかり(プロフ) - 夢主切ないなぁ…更新楽しみにしてます!!ファイトです!!! (2019年6月4日 18時) (レス) id: d8f09a7a12 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 新玲乃音元iqqvyuuさん» 毎回コメントありがとうございます。励みになっております。更新がのろまですが頑張ります。 (2019年4月24日 0時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪丗 | 作成日時:2019年4月5日 0時