貴方のために出来ること〜もう一つの未来へ〜 part.7【名探偵コナン】

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お引っ越しをした数日後に、沖矢昴は日本を発った。……ということになった。昴＝秀一だから。昴と関わりのある人達と一緒に、空港のゲートまでお見送り。けどそのあと、違うゲートから何食わぬ顔で出てきたから。秀一が。もちろんバレないようにって軽く変装してね。


寂しいよぉ……って涙ぐんでる女子高生組を宥めながら、私の心は罪悪感でいっぱいだ。


(……もうやだ。こんな役……。私はのへーんと何も考えずに過ごしたいのに…………はっ！猫でいれば良いんだ。私はしばらく、ぐーたれて過ごすことにする。これ決定)


その日帰ってから有言実行し、猫で過ごし続けていることは言うまでもない。


そして昴と入れ替わるように、明美さんが日本に戻ってきた。その為、秀一と一緒に空港までお迎えに行く。猫の姿で。


「その姿で行くのか？」


『み』


明美さんとの接点は、猫かチェシャ猫かのどっちかだからね。まあチェシャ猫として会う必要ないから、こっちだけでいいっしょ。


ゆりかごに乗ってるみたいに、ゆるゆる振動する体。暖かさと安心感にウトウトしてくる。抵抗することなく目を瞑って微睡んだ。意識が完全になくなり、すやぁ……としてれば


「──っ！」


近くで大きい声が聞こえ耳が反応したかと思えば、いきなり体全体に圧迫感を感じた。内心でぐぇっ……と可愛げなど全くない悲鳴を上げる。


(潰れるっ……！いや潰れ"て"る"ぅ"ぅ"う"……!!)


いやな起こされ方だ。少しだけ圧迫感が緩くなったので、光の元へ顔をひょっこり出す。真上には秀一の顔。何すんだよー……ってじーっと訴えるように見ていれば


「すまん……潰れたか？」


『みゃぁ……(潰れたよ……)』


私の身に何があったんだ、まったく……って秀一へと向けていた顔を後ろに向ければ


(……理由がわかった。けど勘弁しておくれ……)


「Aちゃん！大く……じゃなかった秀くんの所に戻ってたのね。良かった」


目の前にいたのは笑顔の明美さんだった。二人も久しぶりの再会だったろうから抱擁でもしてたんだな。そうかそうか。仲良くていいことですねって、挨拶もそこそこに私は秀一の懐に再度潜り込む。


ケージに入ってない猫がいるなんて空港内の職員に知られたら、秀一が怒られちゃうからね。何で分かるのかって？明美さんをアメリカに見送るとき、猫になったじゃん？実を言うとあの時さ。警備員さんに見つかって鬼ごっこしたから。いやー逃げた逃げた。ﾆｬﾊﾊｰ。


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