18話 ページ19
痛い
なかなかそれはお腹から抜けてくれないから
痛みだけが残って傷が治りそうで治らない
痛い
とにかく痛い
痛くて痛くて堪らない
自分で抜こうとも考えたが痛くて痛くて
それどころでは無かった
『痛い……っ』
痛い痛い痛い
痛すぎて自然と体が暴れて魚のように尾のような足がビチビチと跳ねる
仕方ない、仕方ないのだ
それは分かってるけどその行為が治りきれない傷を抉り痛みを強くしていく
ねずみ男……これ、私にとっては苦労所じゃない……!!
『……たい…たい……たい……』
まだ、何処からか伸びてきたこの黒い尖った何かは私のお腹から抜けようとはしてくれない
『痛い……痛いよ……痛い痛い痛い……!!!』
急いでこちらに走ってきた鬼太郎に貫通している黒い何かから体を引っ張り抜かれてその場から離される
『ぅぅ…ぁぁ……』
鬼太郎「A!」
力が抜けて体がコンクリートの中へと沈んでいく
目玉おやじ「いかん!傷が抉られすぎて治るのに時間がかかっとる、中途半端な状態でコンクリートに沈めばそのコンクリートがお腹の傷に入り込んでしまうぞ!」
猫娘「そんな……!」
まな「!鬼太郎!Aさんを引っ張りあげよう!」
そんな声が聞こえては鬼太郎とまなちゃんにコンクリートの中から引っ張り上げられまだ治りきってない私の傷に鬼太郎のちゃんちゃんこが巻かれる
『……ダ、メだ…ょ……よ、ごれる……』
鬼太郎「これくらい大丈夫だよ」
そう言われればまなちゃんによってまなちゃんの膝の上へと頭を乗させられる
いわゆる膝枕状態だ
大丈夫……これくらい大丈夫なのだ
私はどんなに痛くても死にはしない
大丈夫、大丈夫……大丈夫……
自分に言い聞かせようとそう頭の中で考え続ける
まなちゃんに頭を優しく撫でられる
その感覚がとても気持ちよかった
私が落ち着いたからかさっきまで鳴り響いていた雷や曇り空は消え元の空に戻っていた
そして同時に先程私の横腹を貫通していた黒い何かも消えていた
いや、消えたのかどうかは分からないが……
鬼太郎(他にも数人の気配がする……さっきのはその内の1人の能力か……)
樋口(今のは……!)
ナオミ「っ…!Aさん!大丈夫ですか!?」
ナオミちゃんがこちらへ駆け寄ってくる
『ぅん……大丈夫、だよ……』
大丈夫……もうすぐ……もうすぐだから……
谷崎「!敦くんっ、みんなを連れて逃げるんだ!!」
樋口「そこまでです」
9人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:銀岬 x他1人 | 作成日時:2018年11月29日 0時