婚約者が浮気したけど面白そうなので見守ります【五条悟】

番外編2 ページ26

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僕は今スゴく機嫌が悪い



甘ったるい香水と高い悲鳴に似た奇声
更にはケバい化粧


今ある環境の全てが不快だ



(帰りてぇ)



これ以上目と鼻を酷使したくない。そう思って席を離れようと踵を返す








『えとー、トイレ混んでて遅くなった、ごめんねー』







ほのかに香るシトラスの香りが鼻を掠める
高すぎず低すぎない耳に馴染むような声は僕に甘美な衝撃を与えた



その香りは僕の横をすり抜けて席に着く
そして立ちっぱなしの僕と傑にさりげなく佐藤達の横に座るよう勧めた彼女



薄い化粧と少し目を細めて笑う
笑うと少し幼く見える



『自己紹介しましょうか、小鳥遊Aといいます』



その後の他の女の事なんてどうでもよくて僕の視線は彼女を追いかけた



僕と傑も一応自己紹介を終わらせる
会社の社長というのを聞いて我先にと隣に座ろうとする周りの女とは裏腹に空いた皿を隅に寄せたりと何かしら気を配っている



ボーッと目で追いかけていると佐藤がボソッと呟く



「ホント俺Aちゃん本気で狙うわ」



そんなこととは露知らず佐藤と仲良く話す彼女を見て



(不愉快だ……)



黒い感情が生まれた



『あの、大丈夫ですか？』



五「え？」



『来てから何も飲んでませんよね？何か頼みましょうか？』



既に酒が結構入っているのか赤い頬と少し虚ろな瞳
その顔を他の男も見たと思うとまたドス黒い感情が溢れ出し僕を飲み込んだ



五「大丈夫だよ」



それから2人で少し話した
言葉選びや話し方から彼女の育ちの良さが垣間見える
穏やかで楽しい時間が流れた
彼女が他の男から話しかけられているのを見て気づいた



(あぁ、そっか。これって)



五「独占欲か」ﾎﾞｿｯ



『え？』



誰にでも向けるその笑顔を僕だけに見せて欲しい
どこにも行かずに僕の隣にいて欲しい
その声も仕草も笑顔も視線も全部、ぜんぶ独占したい



五「いや、大丈夫だよ。それより2人で抜け出さない？」



『いーれすよ…？』



さっきより酔った彼女は何のお誘いか分からず頷く
僕は幹事の子に一言言って二人分より少し多めに金を出す
彼女のを連れ出し僕の家に連れ込みいつの間にか眠った彼女を優しくベットに降ろす




軽薄な男と思われるかもしれないけど最後に僕の隣にいてくれるなら何でもする
まずは外堀を埋めてじっくりと彼女を落としていく



「早く僕のものになってね、A」



その後目覚めた彼女から平手打ちをくらった話はまたいつか

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