396話 継国 ページ33
勝った、のか.......?
傷から止めなく血を流している鬼の姿を見つめ、半ば呆気に取られたようにその場で停止する
私たちは、上弦の壱に勝った________仲間の体を、犠牲にして
悲しいやら不甲斐ないやらでホロホロと涙を流し座り込んだ私
しかし、事態はそう単純なものではなかった
「不死川、流星!!攻撃の手を緩めるな、畳み掛けろ!時透の覚悟と玄弥の命を、決して無駄にするな!!」
一瞬、何故悲鳴嶼さんがそんな風に言うのかわからなかった
なんでなの?
ちゃんと頚を斬ったのに、この鬼が死なないのはどうして?
_____私たちは切られた四肢だって戻らないのに、何故コイツは頚を斬られても死なないの?
「上等だゴラァァア!消えてなくなるまで切り刻んでやらアアア!」
『わ、かりました。無一郎君、こっちへ!』
″風の呼吸 捌ノ型 初列風斬り″
″岩の呼吸 伍ノ型 瓦輪刑部″
二人が鬼を攻撃する間を掻い潜り、私は辛うじて息のある無一郎君を抱き止める
無一郎君のことを必ず助ける
玄弥君も、もしかすると、鬼の力で傷は再生してくれるかもしれない
.......決して
玄弥君の傷が再生してくれると、心から信じているわけではなかった
だけど、そう思わないと、今にも体が動かなくなってしまいそうで怖くて怖くて
そう思うしか、心を軽くするできなかったのだ
『ごめん、無一郎君。後で、必ず傷は治すから』
「う....ん......」
戦いからは離れた場所に無一郎君を寝かせ、私は鬼へと斬りかかる
血は止まっていたけれど、頚は再生していない
このまま頚を狙いつづければ、今度こそ_______
.....そんな願いも虚しく
次の瞬間鬼は、怪物のような姿の頭を、斬れていたはずの頚から生やしていた
「頚を再生しやがった、あの野郎!糞が!!畜生がアア!」
『.....攻撃を続けましょう!!頚を再生はしましたが、無惨ほど治りは早くないようです!』
「今のうちならば頚を落とされた直後で体が脆いはずだ!頚を狙え!!何度でも!!」
一瞬だけ、怯んでしまったけれど
......今さら、負けるわけにはいかないのだ
この哀れで非情な鬼を、私たちの手で葬ってやらなければ
____そうして斬りかかった私たちを前に、一瞬
ほんの一瞬だけ、その鬼の瞳が、深い悲しみを写したのが見えた
人殺しの癖に、鬼の癖に
どうしてこの目の前の鬼は、あんなに悲しそうな顔ができるのだろう?
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セブンス・エイカン(プロフ) - キメツ好きさん» 好きですか!本当ですか!?(喜)無一郎君はできれば助けようと思ってます、コメントありがとうございます.....!じゃんじゃん(?)救済して行きますよー! (2020年6月22日 22時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
キメツ好き - はぁぁぁ泣けますね.....やだ好きです.....()御館様もしのぶさんも助かって良かった!!玄弥くんは.....悲しいけど.....無一郎君は助かるんですかね?救済してください!お願いします! (2020年6月22日 17時) (レス) id: b2fc3cf6a1 (このIDを非表示/違反報告)
セブンス・エイカン(プロフ) - 中トトロさん» ありがとうございます!面白いと言ってもらえて嬉しいです!更新頑張りますー! (2020年5月21日 7時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
中トトロ(プロフ) - 続編おめでとうございます!とっても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてますよ! (2020年5月20日 23時) (レス) id: b4064f663e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セブンス・エイカン | 作成日時:2020年5月17日 20時