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そもそも、五条悟という人間にはメンヘラ気質なんてなかったように思える。
自他ともに認める美形だし、まぁ女に困るような奴では無い。ただし誠実さは欠けらも無いので長くは続かないようだけど。
五条とはまた違った理由で同期の夏油も女によくモテるし取っかえ引っ変えなので、よく硝子と男2人にドン引き、というのが日常だった。
でも別に、誰がクズであろうと私達の仲は良好だった。ふざけ合い、先生を困らせ、誰かが怒られているのをニヤニヤと眺めるような、悪ガキスタイル。悪友という言葉が似合う仲。
私は皆を“友達”だと思っていた。呪術師としての実力は3人に遠く及ばずとも、大人になってもお酒を一緒に飲めるぐらいの仲で、そのまま関係が続くのだと信じてやまなかった。
そんな関係がクルリとひっくり返ったのは、ひっくり返したのは、高専4年目突入間際の五条悟。
私は再来年度から大学に編入して、だから今年度で術師を引退する予定で。
それをどうやらこんなにも遅いタイミングで知ったらしい五条は焦った顔で私に駆け寄ってきたのだ。硝子も夏油も知っていたので、当然五条も知っているものだと思っていた。
「っなぁ、高専辞めるってマジ?」
「え、うん。そうだけど…え、知らなかった?」
「きっ…いてない!聞いてねぇよ、バカ女!」
「うわびっくりした!」
大声で叫ばれたものだから後ずさると、五条はその後ずさりよりも大きく1歩、近づいてくる。怖くはなかったけれど、凄い剣幕に思わず冷や汗をかく。
「ごめーんよ、既にご存知かと思っておりましたわたくし」
「ざけんなよお前…!」
「そんな怒らなくても…一生の別れとかじゃないんだしさ」
目の前の奴との温度差に若干たじろいでいると、突然、五条は私の手首をガシッと掴んだ。かなり強めの力で掴まれたものだから驚いて目を見開く。そのまま身体を引っぱられて、距離を縮められた。
「なんで、術師じゃねぇんだよ」
「む、向いてないから?」
「じゃあ補助監督でもやりゃいいだろ」
「え、嫌ですけど…なに、引き止めてくれるの?えぇ、Aちゃん感激ぃ。五条って熱血タイプなんだね、意外!」
「おっまえマジで…!」
熱血タイプ、では済まされないほど怒ってるのなに。硝子も夏油も快く応援してくれたのに、勉強頑張ってねって言ってくれたのに、なんでお前はそこまでキレてる。てか硝子だってお勉強するって公言してたじゃん!?
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作者(プロフ) - ぽぽさん» ありがとうございます🙇♀️今作品でもコメント頂けてとても光栄です😭これからも応援よろしくお願いします☺️ (3月18日 18時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - メルさん» ありがとうございます🥰まじで嬉しいです✨️せっかくだから書いてみようかなと思えました!☺️ (3月18日 18時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽ(プロフ) - めんどくさいおじさんの五条先生も好きですが、メンヘラの五条さんも思わず想像ができてしまいました笑テンポの良い作品で本当に作者様の作品はハズレがなくて私の心にどんぴしゃです; ; (3月10日 22時) (レス) @page4 id: cce9129f81 (このIDを非表示/違反報告)
メル(プロフ) - まじで好きっす (3月8日 18時) (レス) id: 1ce28027fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2024年2月29日 1時