迷い込んだのは… 一人の巫女？ 肆 【文スト】

◇百十、 この旅館では… ページ15

『前と…同じ現象だ…』




そう、今起こっているこの現象という名の化廊下は、何時間か前に騙されたものと全く同じものだった。


「この奥から、すごい妖気を感じる。もしかしたら、あの絵がまたあるのかもな」




あの絵…というのは、私が触れようとしたのを間一髪で避けたあの絵か。

そういえば、あの絵には何が書いてあったのだろう。
…駄目だ、思い出せない。



そして、またしばらく歩いていると、見慣れた絵が壁に掛けられているのが見えた。

少し震える足を何とか動かし、その場所まで辿り着いた。






…これは…、人の絵？


その絵には、何人もの人達が描かれていた。でも、その人達は全員後ろを向いていて顔は見えない。。





でも何故だろう、この人達が着てる服…ここの旅館の浴衣に似ているような。
そんなことを考えていると、ふとある声が聞こえた。





「あ…！お客様！」



『わっ！？…あ、なんだ…。』





一瞬妖怪かと思ったその声は、この旅館で最初に案内してくれた女性だった。


いつの間にか、暗いと感じていた外も今は明るくなってきていた。



『どうしたんですか？そんな慌てて…』


「それがっ…、旅館のお客様が全員、居なくなってて…！」



…え？









…どういう事？

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