漆黒の禍狗はパパになったようです

まいご 6 ページ21

「ぱーぱ！まーま！ちゅや！こよしゃ！」
治春ちゃんは、4人を見て、にぱぁっと笑うと、太宰の腕の中から両親に向かって手を伸ばした。

「オラァ！太宰、手前ェか！治春を拐った奴は！」

「も〜嫌だなぁ〜、どっかの首領と一緒にしないでおくれよ〜」

と、太宰と中原が言い争う横で

「人虎…!貴様…!」

「違う違う！僕は治春ちゃんが迷子になっていたから…!」

「ふん、誘拐犯と云う奴等は皆そう云うのだ」

「指名手配されてる奴が云うな!」

と、芥川と敦が口論を繰り広げていた。

そこに
「ぱぱ、じーこ、ちゅや、だじゃしゃ、けんか、めー！」

と治春が仲裁するように声を上げた。

「ほほ、確かにそうじゃのお、治春。皆、治春に怪我は無さそうじゃ、今回はこの位で帰るぞ」

紅葉が上品にそう笑うと、中原と芥川は引き下がった。

探偵社の面々は先程からその様をポカンとしながら見つめていたが、ふと治春を抱いたAが前に出ると

「…皆さん、治春ちゃんのこと、助けてくれて、一緒に遊んでくれて、本当にありがとうございます。」

と云うと、ぺこりと頭を下げた。

「…治春ちゃん、良かったら、また来て欲しい」

鏡花がぽつりと云うと、Aは優しく微笑み、芥川達と共に去って行った。

パタン、と探偵社のドアが閉まってから数秒後、国木田がやっとのことで

「…太宰、あの小娘が、芥川の娘だと云うのは…」

と、絞り出す様な声で尋ねると

「嗚呼、正真正銘、芥川君の血の繋がった娘だよ？」

と云う太宰の返答に国木田は声も上げず卒倒し、太宰と敦が質問責めにあったのは云うまでもない。

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数日後、マフィア拠点にて
「ほーら、治春！高い高いだぞ〜！」

中原が何時もの様に重力操作を使い治春に高い高いをしようとした。しかし、治春は、無邪気に

「ちゅや、たかい、ないの！ひきゅい、なの！」
と云い放つ。可愛い治春が発した衝撃の言葉にショックを受けつつも、中原が

「…誰が治春にそう教えたか云えるか？」

と聞くと

「だじゃしゃ！」

と幼子が笑顔で答えた数分後、治春を尾崎に預けた中原が良い笑顔で探偵社に(太宰の)殴り込みにいったのは云うまでも無い。
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『くろちゃ』は、羅生門の黒獣の事です。
更新遅れてごめんなさい。

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