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『何故だ、何故なんだっ…どうして私に嘘をついた!答えろ!!』
クラピカの言葉には色々な感情が入り混じっていて、私のしたことは間違いだったのだと、再度痛感させられる。
傷つけたかったわけじゃないのに。
悲しませたかったわけじゃないのに。
『…嘘を、つきたかった訳じゃないの。
いや、結果的にはクラピカにとって、私の言動は嘘で、騙してきたことに変わりはないんだけど…。』
『…なぜ言ってはくれなかった。』
『言ったら…話したらクラピカはどうしてた?
私は、クラピカにとって復讐する奴らなんだよ?
そんななか、言えるわけないじゃない…。』
今までクラピカと過ごしてきた中で、旅団に対する復讐心や憎悪に満ちた感情に気づかされた。
並大抵の思いでは無いことは簡単に理解出来たし、私ですら殺してしまいそうな勢いが怖かった。
『私は、クラピカに殺されてしまうんじゃないかと怖かった。
それ以上に、嫌われてしまうのがもっと怖かった。
でも、こうなってしまった。
ごめん、ごめんなさい…。謝っても意味は無いのだろうけど…。』
『…あぁ、そうだ。謝罪など無意味だ。』
頭を深く下げた私のすぐ近くに寄ったクラピカに反応するように、顔を上げた。
怒りと悲しみから瞳を紅く染め上げた瞳に綺麗だと思ってしまう。
『…私はお前を殺す。
例え、元仲間であってもだ。旅団の人間等に同情はしない。』
構えられた手には鎖が飾られている。
殺されるのに恐怖はあるし、泣きたくなってしまう。
でも、仕方の無いことだ。
当然の報い。
受け入れるしかない。
鈍い音と共に胸に走る激痛に声は出なかった。
痛みからなのか、クラピカを裏切ってしまったことからなのか。
涙が零れた。
それはクラピカも同じで、紅い瞳から零れる涙は宝石のように綺麗だった。
想いを伝える資格すらない私はそっと目を閉じ、ゆっくりと近寄ってきた死に包まれる感覚に少しの安心感を感じた。
『好きだ、A…』
最後に聞こえたのはその言葉だった。
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結梅(プロフ) - 更新楽しみに待ってます!! (2020年6月3日 9時) (レス) id: 1228fc8387 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリンチー - 楽しみに待ってます! (2020年2月23日 3時) (レス) id: 93c5d350f5 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - クラピカぁあぁあっ!なぜ殺したぁあぁあ!! (2019年10月31日 23時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
ハオミン - キルアのかわいさに脱帽した (2019年7月25日 7時) (レス) id: 228eb0b481 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カエデ | 作成日時:2019年7月23日 4時