【クラピカ】嘘つき ページ6
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私は嘘つきだ。
私の嘘で、彼を傷つけてしまうことはわかっている。
今日の集会の後私達、幻影旅団はビルを襲う。
私はいつもの様に、彼と顔を合わせることは出来ないだろう。
『A』
『…ちゃんと話は聞いてるって。』
私は蜘蛛だ。
胸に刻まれた大きな蜘蛛は残酷にも現実だけを突きつけてくる。
そっと、服の上から刺青に触れる。
覚悟は、出来ているはずなのに、どうしても胸が痛む。
『行くぞ。』
団長のその声に立ち上がる。
時間はやってくる。
永遠に来なくていいと願う時は恐ろしくも速い。
耳を劈く爆発音。
爆風で割れるガラスの音と、大勢の人間の叫び声。
焦げくさい臭いに混じって微かに香る血の匂い。
『A、早くしな。
次の爆発に巻き込まれるよ。』
『わかってる。』
黒い煙に姿を消すマチや他の団員。
『A!!!』
『っ…クラピカ』
黒い煤汚れを頬や体につけ、キツイ目付きが私を捕える。
『これはどうゆう事だ。』
冷静さを取り繕う声と拳は震えていて、瞳は紅く染まっていた。
『…』
胸の締めつけからの苦しさと痛みで口を閉ざしたままの私を畳み掛ける様に荒々しい声で言葉を続けた。
『何か言ったらどうだ!!
なぜ、なぜお前が…!!』
『…ごめん』
私が絞り出せた言葉はその一言だけだった。
『私はっ!!!謝罪など求めてはいない!!』
その怒鳴り声に私は何も言えなかった。
謝っても謝っても、それは無意味な謝罪で、逆にクラピカを傷つけてしまう。
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結梅(プロフ) - 更新楽しみに待ってます!! (2020年6月3日 9時) (レス) id: 1228fc8387 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリンチー - 楽しみに待ってます! (2020年2月23日 3時) (レス) id: 93c5d350f5 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - クラピカぁあぁあっ!なぜ殺したぁあぁあ!! (2019年10月31日 23時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
ハオミン - キルアのかわいさに脱帽した (2019年7月25日 7時) (レス) id: 228eb0b481 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カエデ | 作成日時:2019年7月23日 4時