第273話:戦略 ページ37
「(着る服考えたり、髪型いつもと変えたり、場所によっては歩きやすい靴とかも考えてさっ。そういうのって、礼儀でもあるし、何より相手にどう思われたいとかあるじゃない!?)」
相手にどう思われたいか。
お付き合いしてから、服を始めとして学校にいる時とは違う自分の状態で初めて会うことになる。
赤司さんに、見て欲しいところ?
私のこと、どう思って欲しい?
「(…………って……)」
「え?」
ぽつ、と零れた小さな小さな言葉を、さつきちゃんが素の声で聞き返す。
「かわいいって、思って欲しいーーーー
……です」
今度は聞こえるように言い直す。
と同時に、かーっと顔が熱くなっていくのを感じる。
……えっ、私、今、なんて言った?
なんかわかんないけど、凄く恥ずかしいことを言ったと思う。
感情より先に体が反応してて、恥ずかしさが急激に追い上げてきた。
「い、今のやっぱり無しで…」
「なんでなんで〜〜〜!!!
待って待って、今完全に考えるより先に出たって感じだったよね!?深層心理的なやつだよね!?」
ヒューヒューきゃあきゃあと声を上げるさつきちゃんの盛り上がりには撤回しようにも手遅れで。
そもそも耳まで真っ赤になった私がいくら訂正しようと、全く説得力も無く。
「んんんかっわいいなぁもう〜〜!!
今のとこ動画回しておけばよかった、もう一回聞きたいし赤司君にも見せたい〜〜〜!!」
やめてーーー!!
本当に撮られてなくてよかった、死ぬほどからかわれるに決まってる。
「え〜〜?流石の赤司君も彼女のそれにはとろけちゃうと思うけどな〜〜〜?想像はできないけど……。
まっ、今回はわたしの独り占めってことにしよっと。」
尚もニヤニヤが止まらないさつきちゃんは、「かわいいって思って欲しい、かぁ……」と噛み締めるように何度も復唱する。勘弁してぇ……。
「あは、ごめんごめん。
それにしても、Aちゃんの口からそんなふうに聞けるなんて初めてだったから、わたし嬉しくて。
なんていうか……惚気みたいな?
Aちゃんってちゃんと赤司君のこと好きだったんだねぇ。」
「えっ」
何気なく彼女がさらっと言った言葉に、思わず声が漏れた。
「今、なんて?」
「えっ、だから、Aちゃんって赤司君のこと好きなんだね、って……さっき完全に恋する女の子の顔だったし……
わたし、何か変なこと言ってる?」
私、わたし、が、赤司さんのこと。
好き?
恋してる?
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白虎 - 赤司くんはやっぱりカッコイイですね〜 (7月21日 10時) (レス) id: eab1ac402f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mae | 作成日時:2022年4月19日 19時