第263話:遠慮なく ページ27
腹が決まった僕は両手を机に掛け、勢いのまま机に飛び乗る。
Aは思った通り素っ頓狂な顔で絶句している。
机を回り込むより直線距離で近付いた方が早いというだけなのだが、Aが都合よく壁際まで椅子ごと後退してくれたので、それも狙いの内だったということで。
恐怖を驚きが打ち消したのもまた大変都合がよろしい。
そのまま机から飛び降り、まっすぐ彼女との距離を詰める。ここまで来ればもう絶対に逃がすことはない。
「お仕置の時間だ。
約束を破ったら、お仕置き。
失神するまで深いキスしてやるって、言っただろう。
覚えてるよね?」
我ながらなんてちょうどいい約束を仕込んでおいたものだ。感心してしまう。
雷に打たれたような顔をしているAをしっかり椅子と身体で閉じ込め、満面の笑みで宣告する。
「思い出したようだね。じゃあ遠慮なく」
「ちょっ、と待っ、!!!!
んん"〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
返事ごと押し戻して唇を塞いだ。
数秒間じっくり押し付けてぴったり嵌る場所を探る。頬と後頭部も支え、あまり力が入らない体制に固定して抵抗を弱めさせる。胸板を頑張って押してくるが押し返される気が全然しない。
しかし強引に始めたこともあって、普段は柔らかく受けいれてくれる唇には随分と力が入っていて侵入を拒まれる。
ふふん、おもしろい。強情じゃないか。
こじ開けてみせろと、そういうことでいいんだな?
こちらはAが意地を張れば張るほど逆に燃えるというのに。
僕は見せつけるように自身の下顎を大きく開き、固く閉ざされた彼女の小さな唇にかぶりついた。
さながら大事な、特別な獲物を少しずつ少しずつ解しながら食べているような感覚。
ゆっくり口を開閉させながら彼女の唇の端や縁に引っ掛け、息を吹き掛け、感触を楽しむ。
時々彼女の首に忍ばせた右手で髪をかき混ぜ、擽るのも忘れない。
角度を変えて繰り返していると、彼女の身体が顔を中心に少しずつ火照っていくのがわかる。
潤んだ目元とふるふると震える肩、もう軽く吸うだけで簡単に拓いてしまう唇が、いじらしくて身悶えする。
それでもまだその奥までは歯列に閉じられているから、あくまで抵抗する気はあるのだなと、健気な意地はりがかわいくてかわいくてニヤけてしまいそうになる。
ねぇ、ここまで来たら止められないだろう?
もう分かってるはずだ、どうせ破られることになるのだから潔く諦めて。
さぁーーーーここを開けろ。
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白虎 - 赤司くんはやっぱりカッコイイですね〜 (7月21日 10時) (レス) id: eab1ac402f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mae | 作成日時:2022年4月19日 19時