第257話:予鈴 ページ21
一生懸命動きに付いていこうとするのだけど、悲しいかな力量の差は圧倒的で、溺れるように声を上げるしかできない。
掬いきれず喉に流れてくる温かい蕩けた液体をよく分からずに呑み込めば、尚更水の中にいるみたいだ。
赤司さんの、も混ざってるであろうそれを躊躇いなく飲み込めてしまう自分に驚く。
赤司さんの
喉から勝手に零れる自分の声が高く短くなっていく。
溺れそうなのに、蹂躙されているのにずっと気持ちいいが続く。
いよいよ頭の中に響く水音も激しくなって、熱くてくらくら目眩がする。
「A、」
じゅる、くちゅ、じゅるる。
「っん!、ん、んぅっ。
き、もち……」
啜る水音と私の嬌声、熱い呼吸音が混じりあって鳴り渡る。赤司さんの吐息も熱く昂っている。
赤司さんの本気がこれなら、今までどれほど手加減してくれたんだろうか。
少し頬が上気した程度の彼に比べ、私は今どれほどとろけてみっともない顔をしてるだろう。
赤司さんから教わって、ゼロどころかマイナススタートだった頃に比べれば多少は進歩してはいるはずなんだけど。
ああでもやっぱり表情を繕う余裕があったことはなかったかもしれない。
だらしなく緩んだ口許を締める術も私は持っていなかった、けれど。
《キーーーンコーーーンカーーーンコーーーン……》
「!!」
思わずビクっと肩を揺らす。
予鈴だ。あと5分で授業が始まることを報せる時の鐘。
目を開ければ教室の掛け時計が視界の端に見える。
真夏のアイスクリームのようにどろどろに溶けていた脳が、音を認識した途端に理性の柱を構築し始める。
一体どれだけの時間口付けをしていたのかわからないけど、もう行かなければ。
時間が止まったようにぴたっと舌の動きは止まっていたので、身体を離そうと彼の背中にしがみついていた両手を解く。
そのまま自然な流れで口許も名残惜しく離れる……ーーーー
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白虎 - 赤司くんはやっぱりカッコイイですね〜 (7月21日 10時) (レス) id: eab1ac402f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mae | 作成日時:2022年4月19日 19時