第253話:約束 ページ17
先程の3人がどの苗字の人達なのかは知らないけど、手っ取り早く点を稼ごうとして今日見つかったということなんだろう。
頭が痛い。
なんだか最近、こういう身勝手な人達に振り回されることが多い。
どうしてこんな事ができるんだろうかと、普段余程怒りの感情を抱かない私ですら、一言言わなくては気が済まないような気がしてくる。
「今日の所は証拠も押さえたし、周りの目もあったからとりあえずは処分は後にまわしたけど。
暫くはああいった輩には予防の為に警告と、気を引き締めることが必要だね。
そしてーーーー」
赤司さんはそこで一旦言葉を区切り、メモ紙を綺麗にしまってから私を正面からまっすぐ見据えた。
「A。何かあればどんな小さなことでも教えて欲しい、と言ったはずだが。」
「え!」
ドキリと心臓が大きく揺れる。
一瞬で憤りが吹っ飛んだ。
「知らない男子から声を掛けられていたのだろう?
お前が違和感に思わないはずがない。
僕に言わなかったどころか、他の男に先に相談するだなんてーーーー恋人として、男としてこんなに悲しいことはないじゃないか。
ねぇ?」
赤司さんのじっとりとした、特大の皮肉を込めた視線と言葉をくらい、蛇に睨まれた蛙のような心地がする。
やばい、急に冷や汗をかいてきた。しかも心当たりがあるから尚更。
緑間さんの懸念がドンピシャで当たってしまった。
緑間さんに先に話したことも。
…やばいやばいやばい!
「今回の件、悪いのは100%彼等だよ。そこは前提として。
それとは別に、葵希の対処の仕方にも問題があったと言わざるを得ない。
お前のことだから、忙しい僕に迷惑掛けたくないとか、大事になる前に自分で解決したかったとか、困り事として相談していいのか分からなかった、とか。
そういう理由で言わなかったことは予想できるさ。
まぁ、それも込みでの言い含めたつもりだったんだけれど。」
「うぐ、ご、ごめんなさい…」
口撃が続く。既にボコボコなんですが。
相変わらず全てを見通した人だ、私の性格や思考なんて殆ど筒抜けなんだろう。
図星過ぎて全く言い返せない。
「それから。
僕は以前にこんな事も言ったけど、覚えてるかな。
自分のことを自覚しろ。
近付いてくる男には警戒を、都合よく触らせるなーーーー
とね。
体育用具室での「約束」、忘れたとは言わせないよ」
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白虎 - 赤司くんはやっぱりカッコイイですね〜 (7月21日 10時) (レス) id: eab1ac402f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mae | 作成日時:2022年4月19日 19時