第251話:お遊び ページ15
「あっ!?ちょっ、待って……」
持ち主の止める間もなく、奪い取った4つ折りに折りたたまれたメモ紙を開き一瞥する。
「ーーーふん。くだらないな」
中身には予想がついていたらしい。
赤司さんは吐き捨てるように呟くと、広げた紙をもう一度畳み、自身のポケットにしまう。
3人の男子生徒は先程とは打って変わって顔を青ざめさせていて、ヤバい、やってしまったと心の声がありありと見えるようだった。
私には彼等が赤司さんに見られてはまずいものが見つかってしまったのだということしか分からない。
いや、本当に。
この状況、今何が起きてるのかさっぱり分からなくて完全に置いてきぼりである。
なんか、鮮やかなカマかけ、誘導尋問だったな、とか考えてた。
「これは僕が預かろう。
まったく、舐めた真似をしてくれる。」
ポケットの上からトントン、と押収したメモを叩きながら、赤司さんが言う。語調は以前、冷え冷えとしている。
「お遊びでも賭け事は程々にーーー少なくとも相手は選ぶべきだね。
スリルを求めて不相応にもこの僕の…赤司征十郎のものに手を出した、その代償はいずれ払ってもらおう。
ともかく今日はーーーお互い暫く顔を合わせたくはないだろう。
さっさと立ち去ってくれないか」
完全に気圧された3人は真っ青な顔を見合わせ、
「…わ、悪かったよ…」とすれ違いざまに小さな声で告げると足早に教室を出ていった。
…お遊び……賭け事、?
聞こえてきたワードにピンと来るものはない。
それもこれも、メモ紙を見たらわかるのだろうか。
「A、怪我は?」
横目で彼らを見送った赤司さんに短くそう聞かれ、困惑しながらも「ありません」と答える。
「そう、良かった。
…少し話したい。今から、いいか?」
「はい、」
私だけが何も知らないこの状況を、多少なりとも説明してくれるのだろう。部室に居たはずだけど、どうやってここまで来たのかも。
流石にミーティングは終わってから来たのだと思いたいけど、赤司さんから話す時間を取る提案をされている以上断る理由は無かった。
軽く手を取られ、繋ぐでは無いけど引かれるままに私も教室を出る。何処か、2人になれる所に移動するということだろう。
ちょっとした騒ぎでギャラリーがざわつき始めていた教室から出られてひとまずほっとする。
導かれるままに廊下を進み、辿り着いた場所は。
「ーーーここって…」
私達が初めて言葉を交わした、
あの資料室。
288人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白虎 - 赤司くんはやっぱりカッコイイですね〜 (7月21日 10時) (レス) id: eab1ac402f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Mae | 作成日時:2022年4月19日 19時