操られたもん勝ち─4 ページ21
ym side
「ゆーとぉ、なんか調べ着いたー?」
昼間、バーのカウンターに顔をつけて裕翔を見上げる。
他に客がいないからできることで、普段はフードを被って密かにちまちまといちごパフェを食ってる。
昼っていいね、高木も夜しか来ないし、のんびりできるし。
yt「そんな簡単に出ないってば」
前に調べとく、と言っていたものの、数日では結果が出ないのも当たり前か。
それって要は、裕翔でも調べがつかないくらい日下杜組が謎多き組織だってことを、少なからず意味してるんだけど。
「じゃあ俺の組については?」
yt「そっちはいけた。でも……」
「でも?」
yt「後に継ぐことになる組の話、本当に知りたい?」
既にピカピカのグラスをキュッキュッと音を鳴らしながら、拭き続けている裕翔。
これは本気で心配するときにやってしまう癖だ。
恋人の俺にしか見せない、本当の癖。
「だからこそ知る必要があるんでしょ?」
yt「ま、そうだね。……今回得られた情報は二つ。一つは、その知念って子のことで、もう一つは、白鳥組の裏稼業について」
「勿体振らないで早く教えてよ」
yt「はいはい。まず、その知念くんは父親が白鳥組の下っ端だったらしい。元だから、今はもう……」
「分かった。それで?」
yt「知念くんは今、薮くんと関係を持ってるよね。やまから聞いた話によると、薮くんは日下杜組の後継者なんだと」
「うん」
yt「知念が今も尚、白鳥組の下にいたとしたら、日下杜組の奴らとなんて付き合いもしないでしょう?例えそれがとっても仲の良かった友達だったとしても、突き放すくらいのことはする筈だ」
「……もしかして、」
yt「知念はスパイの可能性が高いってこと」
そうなると、必然的に薮くんがそのことを知っている可能性も高くなるわけだ。
おい待てよ。
薮ちゃんが繋がってる白鳥の奴が、知念ってことになるぞ。
でも違うよな。
だってさ。昨日会うまで、俺は知念のことを少しも知らなかったわけで。
俺が繋がってると態々言ったんだ。
そうなると、薮ちゃんだって知念がスパイだということを知らないってことになる。
……矛盾しすぎて意味分かんねぇ。
「え、でも待って。それが本当だとしたら、なんで薮ちゃんは俺と知念を引き合わせたんだよ。絶対に俺が調べること、薮ちゃんなら分かってたでしょ」
yt「そこなんだよねぇ。それに、知念くんがスパイだって線も濃厚じゃあない」
やべぇ。益々分からなくなった。
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柊(プロフ) - みるみるみるきーさん» コメントありがとうございます!!!まさかまさか、みるみるさん(私が勝手にそう呼んでいます。すみません)からコメントを戴く日が来ることになるとは……!騒いでいただけるなんて、感激です!早く更新します!ありがとうございます!頑張ります! (2020年9月13日 23時) (レス) id: 9a230f5c32 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - 初めまして。《ミントな君に祝杯を》をから一気読みしてしまいました。いろんな人がいろんな形で絡んでいて、え?あら?そーなの?うわー!と、ひとり騒がしくしながら読み進んでいました。更新、楽しみにしています。 (2020年9月12日 19時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2019年6月16日 15時