【2】サド教師とツンデレ生徒【名前変換オリジナル】

第五十話 ページ1

結果、順位は驚きと驚きととにかく驚きの詰め合わせだった。

すべての教室に備え付けられてある、パソコンに接続されたスクリーンに映し出されたページ。
そこには生徒会の努力の賜物が映し出されたわけだが。

10位に和樹君の名前があったのはいいとして。
もちろん喜ばしいことなので「おめでとう、すごいね！」と声をかけておいた。

5位に樹の名前もあったのはいいとして。
なんか猿っぽいしすばしっこいし、多分見かけた人を片っ端から捕まえに行っていたんだろう。
「俺すげー！」とか自画自賛して腹が立ったので賛辞は送らないでおいた。

問題は1位の名前であって。
当の本人は、クラス中の女子の歓声とクラス中の注目を浴びながら、苦笑を浮かべている。
教卓のすぐ横、腕を組みながらスクリーンを見るあの人、
笹塚先生の名前がそこにあるのはまったくの予想外で。

「……むしろ、先生が生徒の商品横取りしていいの……？」

とぼそりと呟いてしまう。
これは生徒が作った生徒のための生徒だけのイベントのはずだ。
新任教師がそこから1位をかっさらうなんて話、前代未聞だろう。

そんな私を含む男子らの大部分の視線を受けて、先生は慌てる。
あ、なんか珍しい。少しだけ可愛いかもしれない……。

「ま、待て！誤解だ。 俺はこのイベントを真面目にやるつもりも一位を取るつもりも毛頭なかった」
「……それって嫌味ですよ先生……」
「最後まで話を聞け！これは俺のせいじゃない。 いいか」

教卓の端に両手を置き、体重をかけ前のめりに私ら生徒の顔を食い入るように見る先生。
こんな必死な姿を見るのも久しぶりだ。
最後に見たのはいつだっただろうか……あぁ、女子の大群に囲まれた時だったかな。

「……大量の女子生徒が俺に触れてバッジを渡し体育館に戻っていっただけだ」
「うわぁ」

思わず本音が私の声から零れ落ちた。

鬼ごっこの本分が失われ、子が逆に鬼に捕まりに行くという最悪なシチュエーション。
名前も知らない子の女子生徒に体を触られた先生はさぞ気持ち悪かっただろう。
私の心境は一変、一気に同情に変わってしまった。
いや、これは同情せざるをえない……。

「なんですかそれ！先生可哀想！」

そんな声とともにガタリと席を立ちあがる我が友人、千佳。
もうこの子が何を言おうとも驚くまいと心に誓った。

多分先生が見つからなかったんだろうな。他の子よりも何倍もべたべたと触りまくりたかったんだろうな。
あの千佳の悔しそうな顔と言ったら。

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