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ぶつぶつと文句を垂れ流してるのに、中島さんはさっきからずっと笑顔
｢ていうかなんでそんな嬉しそうなんだよ、俺今怒ってんだけど。｣
｢あぁ、ごめん。素の涼介って結構面白いんだなって｣
言われて気が付く。確かにさっきから何の偽りもなく中島さんと話していた。
怒りなんて素が1番に現れる感情自体、いつぶりだろうか。
｢その涼介の方が良いよ｣
｢うるせぇ、中島さんに言われる筋合いはない｣
｢裕翔｣
｢え？｣
｢裕翔でいいよ。その口調で苗字にさん付けとか気味悪い｣
そう言って着ていたジャケットを俺に被せた。
そういえば俺薄着じゃん…。寒い訳だ。
ようやく力の入った足腰で立ち上がり、有難く袖を通す。
「じゃあ裕翔、ここどこなの？帰りたいんだけど」
さっきのビルがあれでしょ、そんで今居るのが…。
うわ、ここも結構高い。
「ねぇ、俺と一緒に来ない？」
「さっきから俺の話聞いてねぇよな」
またからかってんのかと裕翔の方に振り向くと、さっきまでの笑顔じゃなくて、真剣な顔
「…どういうつもり」
「さぁ？」
「これ以上、俺を助けるメリットなんて、」
「“助ける”ってことはやっぱりあの生活嫌なんだ。」
さっきからずっと裕翔のペースに乗せられてる。
意図が読めなくて、1度ハメられたことを考えながら裕翔を睨みつける。
「…気に入ったから。」
「は？」
「涼介のこと、結構気に入っちゃったから。
理由はそれだけ。」
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作者名：たく | 作者ホームページ：https://twitter.com/HSJW_Taku?s=09
作成日時：2021年12月3日 20時
