小噺*はじめての……? ページ49
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夜も深まる社員寮、太宰さんのお部屋。
いつも通りふたりきりのこの場所で、それでも私はいつもよりもドキドキしていた。
「だ、太宰さん……」
「いいよ、いつでも」
目の前には太宰さんの整った顔。
優しく、どこかあやしげに微笑む太宰さんに私の心臓は早鐘を打ち続けている。
「でも私……すごく、緊張してしまって」
「この程度で音を上げているのかい? これからもっとたくさんするのに」
「で、でも……」
「いいから、ほら。たった一度、勇気を振り絞るだけでいいんだ」
「……わ、わかり……ました」
頬をサラリと撫で、柔らかい言葉で催促する。
観念した私はゴクリと唾を飲み込み、震える指で……………
ピッ
『もしもし?』
「わぁ、太宰さんの声が聞こえます!」
『……まさかキミ、その歳で電話するの初めてじゃないでしょうね』
「そ、そうですけど……でも、太宰さんの声がいつもよりも近くて、すごくドキドキします……」
『…………』
「太宰さん?」
『A、愛してるよ』
「ふぁっ!?」
「あは、あとで電話越しに云うのと直接云うの、どっちの方がドキドキするか試してみようか」
「太宰さんっ……!」
(終わり)
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鈴蘭(プロフ) - ウナさん» 私も書いててひえええってなってます笑(?) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - みそしる大臣さん» そんなドキドキをお届けできているなんて嬉しい限りです(^^) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - SAKA0829093さん» ありがとうございます!ダラダラ更新で本当すみません… (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - もうヤバイですマジでもうヤバイですよ!!!!ひええええってなります(?) (2019年4月3日 19時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
みそしる大臣 - 夢主より僕の方が早くキュン死にしそうだ…心臓が持たない! (2019年3月30日 23時) (レス) id: 487407bef1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年5月25日 1時