story42*同じようで異なる ページ47
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翌朝。
太宰さんはやっぱり寮にいなかった。
「起きるの早いなぁ……寝る時間も私より遅いのに」
私の手元にあるのは『先に社に行くね』と、綺麗な字の書き置き。
……太宰さん、昨日の私の言葉を聞いてちゃんと教えてくれたんだ。
「あれ……? でも、なんで『入水しに行くね』とかじゃないんだろう」
ふと疑問に思い、紙を見つめる。
私を心配させないための嘘なのかなとも思ったけど、それで探偵社に姿が無かったら不安は倍増。太宰さんはそれを分かっているはず。
____ということは。
「太宰さん、今日はもう探偵社に向かってるんだ!」
そう書いてあるはずなのに、今それに気がついたかのように私は笑みをこぼした。
直ぐに身支度を済ませ、寮を出る。
「おはようございます!」
「あ、Aさん。おはようございます」
「おはようAちゃん!」
「おはよう」
扉を開いた先にいたのは敦くんと乱歩さん、それに国木田さん。
……そして。
「おはよう、A」
「太宰さん……! おはようございます!」
朝から目がくらんでしまいそうなほどの綺麗な微笑を描き出す、太宰さんだった。
「今日は入水してないんですね。タオルあるのに」
「また用意してくれているのかい? なら、今からでも川に飛び込んでこようかなぁ」
「だめですよ。心配しちゃうんですから!」
パソコンに向けていた支線を私の方に向け、太宰さんは冗談交じりにお話してくれる。
……でも。
「君に心配されるなんて、私は本当に幸せものだ」
「……そう、ですか?」
ちょっとだけ、どこかいつもと違う気がするのは気の所為なのかな。
敦くんも鏡花ちゃんも、みんないつも通りだし、私の勘違いかもしれない。私は国木田さんからお仕事をもらい、自分の机に着いた。
いつも通りにちゃかちゃかと仕事をこなす。
今日は先日の依頼の報告書を書いて、その後は簡単な事務作業ばかりだ。新しい依頼がこなければだけど。
しかし、日々を忙しなく生きる探偵社員に仕事の無い日など存在しない。
「A。社長がお呼びだ」
「え……本当ですか?」
「嘘をついてどうする」
急な社長からの呼び出しに戸惑いが隠せない。
神妙な顔つきの国木田さんに不安のみが募る中、私は急いで席を立った。
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鈴蘭(プロフ) - ウナさん» 私も書いててひえええってなってます笑(?) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - みそしる大臣さん» そんなドキドキをお届けできているなんて嬉しい限りです(^^) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - SAKA0829093さん» ありがとうございます!ダラダラ更新で本当すみません… (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - もうヤバイですマジでもうヤバイですよ!!!!ひええええってなります(?) (2019年4月3日 19時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
みそしる大臣 - 夢主より僕の方が早くキュン死にしそうだ…心臓が持たない! (2019年3月30日 23時) (レス) id: 487407bef1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年5月25日 1時