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story40*恩人・福沢さん ページ45

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「Aさん、どうかしたんですか……?」


「え……あ、ううん……何でもない」



一瞬、ぐにゃりと頭が揺れたような気がした。


けど、敦くんに声をかけられた時にはもう何ともなかった。痛みも違和感もない、いつも通り。


そして、私は6年前のことを話し始めた。



「私もね、敦くんと同じ孤児なんだ」


「え……」


「でも孤児になって2年で里親が見つかって、多分、敦くんと比べることも出来ないくらい幸せな生活を送ってたんだと思う」



本物の家族は家事で焼け死んでしまったこと、その時のショックで火事以前の記憶が全くないこと、その後2年間孤児院で暮らしたこと、優しい優しい里親に引き取ってもらって幸せな生活をしてきたこと。


その全てを敦くんに話した。



「……じゃあ、本当の家族のことは覚えてないんですか?」


「うん。全く。今の両親がお父さんお母さんだと思ってるよ。……でも、」



多分、私の本当のお父さんお母さんは私を命からがら逃がしてくれたんだと思う。


だから私だけが生き残った。



「本当の両親への感謝を忘れたこともない。どんな人だったのか全然知らないけど、きっといい人どったんだと思う」


「……そうですね!」



初めて誰かにこんなことを話した。少しだけ胸がジンとして、また泣きそうになってしまった。


だけど、まだ敦くんの質問に対する答えにはなっていない。



「どうして探偵社へ入ろうと思ったか、だよね。それは火の海から逃げてきた私を助けてくれたのが社長……福沢さんだったから」


「そうなんですか!?」


「うん。まだ軍警さんも駆けつけてない中で、たまたま屋敷の前を通りかかった福沢さんが中から出てきたボロボロの私を助けてくれたの。……後から人聞いたことで、私は覚えてないんだけど」



私にとって社長は命の恩人。


数日後に病院で目を覚ました私が記憶喪失だったこと、そして精神操作系の異能力者だというこを知って、社長は評判の良い孤児院を紹介してくれた。


そして、もしも里親が見つからなかったとしても大人になったら異能探偵社で必ず雇ってくれる、と約束もしてくれた。



「私は異能力を使いこなす練習をして、二十歳になったから探偵社の扉を叩いた。私はずっと、私を助けてくれた社長が取り仕切る探偵社に勤めるのが夢だったの」



私は、笑顔で、そう言った。



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story41*貴方がいたので→←story39*敦くんの入社噺



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鈴蘭(プロフ) - ウナさん» 私も書いててひえええってなってます笑(?) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - みそしる大臣さん» そんなドキドキをお届けできているなんて嬉しい限りです(^^) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - SAKA0829093さん» ありがとうございます!ダラダラ更新で本当すみません… (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - もうヤバイですマジでもうヤバイですよ!!!!ひええええってなります(?) (2019年4月3日 19時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
みそしる大臣 - 夢主より僕の方が早くキュン死にしそうだ…心臓が持たない! (2019年3月30日 23時) (レス) id: 487407bef1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年5月25日 1時

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