story3*さりげなく告白 ページ5
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突然……でもないお誘いに戸惑っている私に、太宰さんは更に説明を加えた。
「社員寮が空いていないなら私の所へ来ると良い。お金掛からないし、そっちの方が得だろう?」
『お金が掛からない』という言葉に、私はうっ、と小さな呻き声を上げた。
がしかし、その提案は背後からいらっしゃった美人さんによって止められる。
「辞めた方が良いと思うけどねェ……年頃の女が男と同居なんてさ。」
「……ほぇ?……どうきょ、ですか?」
確かに、美人さんの云った通りだ。
こんなに格好良い太宰さんに恋人が居ないはずがない。私なんかが“同居”したら、迷惑だろう。
「あ、早瀬Aと申します。」
「与謝野晶子だよ。此処の専属医をしてるモンだ。」
ちゃっかり美人さんと挨拶を交わしてから、太宰さんのほうへ向き直る。
絶対に迷惑になるから、矢張り自分で家を探した方が良いのかもしれない。
「心配しなくても大丈夫さ。君の思ってるような迷惑はこうむらないよ。」
「で、ですが……太宰さんの恋人が……」
「ん?」
途端に、太宰さんの優しそうな笑顔が崩れた。
私は何かおかしい事を口にしてしまったのだろうか。そもそも、人様の恋模様について触れるのは常識外れだったのだろうか。
自分で立てた憶測にドキドキしていると、太宰さんは有り得ないことを口にした。
「私に恋人はいないよ…………、
だって、ずっと前から君に片想いしてたんだから。」
瞬間、事務所が静まり返った。
私だけじゃない。国木田さんも与謝野さんも、言葉を失って棒立ちしている。
そんな中、私は安堵の溜息をこぼす。
「そ、そうなんですか、恋人はいらっしゃらないんですね。じゃあ、あの………お家に住まわせてもらっても宜しいでしょうか……?」
「「はァ!!?」」
「うん、勿論だよ。」
国木田さんと与謝野さんの声が、完全に被った。
それに続けて、太宰さんが住んでもいいよ、と返事をくれる。
私は最後まで、おふたりが何に驚いているのかが理解出来なかったのでした。
(恋人が居ないという事しか聞いてなかったのか!?)
(妾ゃもう知らないよ。あの子が良いなら良いンじゃないか?)
武装探偵社、入社1日目。
予想外のハプニングにより、私を知っているという謎のイケメンさんと同居生活を始めることになりました。
(太宰さんって私のことが好きなんだ……)
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鈴蘭(プロフ) - ウナさん» 私も書いててひえええってなってます笑(?) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - みそしる大臣さん» そんなドキドキをお届けできているなんて嬉しい限りです(^^) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - SAKA0829093さん» ありがとうございます!ダラダラ更新で本当すみません… (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - もうヤバイですマジでもうヤバイですよ!!!!ひええええってなります(?) (2019年4月3日 19時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
みそしる大臣 - 夢主より僕の方が早くキュン死にしそうだ…心臓が持たない! (2019年3月30日 23時) (レス) id: 487407bef1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年5月25日 1時