story22*先輩の優しさ…? ページ26
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太宰さんと朝ごはんを食べ、太宰さんとのんびりして、たまに揶揄われて、顔を赤くして………
太宰さんと同居を始めてから当たり前の朝を過ごし、私は武装探偵社に向かった。
事務所の扉を開くと、中は何故か静まり返っていた。そして、国木田さんの顔が怖い。
厳粛な雰囲気の中、背後から声がかけられる。
「あ、Aさん、おはようござい…ま、す?」
「敦くん………」
いつものように明るく元気に挨拶してくれた敦くんも、その雰囲気に押されてしまったようだった。
私たちは目を合わせると、さっと後ろを向いて視線で会話を始めた。
“一体何があったんですか…?”
“さあ……私にもちょっと分からない”
“太宰さんが原因ですかね。”
“でも今日はお休みの日だったみたいだよ?”
コソコソと会話をしていると、国木田さんはこちらにギロリと視線を回してきた。
すかさず竦み上がる後輩2人。
「く、国木田さん…今日は随分とご機嫌が悪いようですが、い、いいい一体なにが…!?」
「敦くん…ビクビクしすぎ……」
隣で聞いていて思わず苦笑いしそうになってしまうほどの敦くんの怖がりっぷりに、国木田さんはパソコンから顔を背け、体ごとこちらに向いてきた。
その目は、子供が見ればたちまち泣き出しそうなほどに険しい。
(ヒィィィィ!!!!)
(なに!?国木田さんに本当になにが!?)
身を寄せ合って、何をした訳でもないのに国木田さんに怯える。
その視線を向けられれば、まるで狼に喰われる直前の小動物の気分を味わったよう。
そんな中彼が告げたのは、予想外すぎる一言だった。
「早瀬。」
「は、はい!!」
人相の悪い顔で名前を呼ばれ、無意識に背筋がピンと伸びる。
自分の名前が呼ばれなくてほっとしている敦くんは見ないふりをする。
「先日のポートマフィアの件、良くやったな。」
「…………へ?」
ドキドキしていたぶん、その言葉に面食らってアホっぽい声が出てしまった。
なんて云った?私には労いの言葉に聞こえたのですが。気のせいなのでしょうか。
「初仕事で疲れているだろう。太宰の唐変木は今日は休みだったはずだ。一緒にデェトでも行ってくると良い。」
国木田さんはそう言い終わると、途端に柔らかい顔に戻って、再度パソコンに目を向けた。
……私と敦くんは、何が起こったのか理解出来ないでいたのでした。
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鈴蘭(プロフ) - ウナさん» 私も書いててひえええってなってます笑(?) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - みそしる大臣さん» そんなドキドキをお届けできているなんて嬉しい限りです(^^) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - SAKA0829093さん» ありがとうございます!ダラダラ更新で本当すみません… (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - もうヤバイですマジでもうヤバイですよ!!!!ひええええってなります(?) (2019年4月3日 19時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
みそしる大臣 - 夢主より僕の方が早くキュン死にしそうだ…心臓が持たない! (2019年3月30日 23時) (レス) id: 487407bef1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年5月25日 1時