08 出会う狼と少女 ページ8
「お前なんで俺様の…ってそれより！本当にどうしたんだよ。俺様でよかったら話聞いてやるけど…」
凛月や零が言っていた、彼は優しい人だ…と。
『あ…ありがとうございます。大丈夫ですから…。』
そう言って歩きだそうとした途端、グラッと視界が傾いた。
…しまった、夕方だからって油断した。突然の頭痛が私を襲う。痛い、痛い、痛い。体が日光を拒否している。
その場で座り込むと心配するように大神晃牙さんが顔を覗き込んだ。
「おい、お前、本当に大丈夫なのかよ…。教えてくれれば家まで送るぞ？」
『…本当にごめんなさい。じゃあ…お願いします…。』
「分かった。荷物持ってやるよ。案内してくれ。」
彼は肩を貸してくれた。ゆっくりゆっくり、日陰を通りながら。
私は零や凛月のように強くない。日光は私たちの敵、分かってはいるけど私はこの世界が好きだ。だけど実際こうやって人様に迷惑をかけている。…やっぱり考え直すべきなのだろうか。
『朔間…零の家って分かりますか…？』
「…あぁ。その近くか？」
『いえ、そこです。私…朔間Aって言います。兄が…いつもお世話になってます』
え！？と驚く大神さん。その驚く声が頭に響いて余計に…。
「あ…いや。その、悪かったな。妹…なのか」
『…はい』
「あーもしかして、さっき泣いてたのって吸…朔間先輩と関係あったりするのか…？無理して話す必要はねーけど…。」
関係ありよりのありだ。
『…あの…私、零兄に酷いこと言っちゃって…それで…怒らせちゃったんです。その後…よく分からないけど急に悲しくなって……』
どうしよう、思い出しただけでまた悲しくなってくる。泣きだしそうな私に戸惑う大神先輩。
「…それは…大変だったな。良かったら俺様からなにか朔間先輩に伝えといてやろうか？」
『零…兄に…？……いえ…お気持ちだけで十分です…ありがとうございます。けど自分で伝えたいので…』
大神先輩に言ってもらうのは意味が無い。自分で…ちゃんと言わなきゃ。
「…そうか。…ん、着いたな。」
『本当だ…大神先輩、ありがとうございます…。今日のお礼は…いつかさせてもらいますね…。』
「あ？お礼なんていらねーよ。じゃあな、無理だけは絶対すんなよ。」
そう言って…大神先輩はさっさと帰ってしまった。
う、まだ頭が痛い…。早く家に入って…血じゃなくてトマトジュースでも飲もうかな…。
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冬乃(プロフ) - よっ！ (2018年8月30日 18時) (
レス) id: db15aabe3a (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - 面白い作品で好きです！あと、12話で英智さんのあだ名がエッちゃんじゃなくてセッちゃんになってますよ? (2018年8月19日 21時) (レス) id: 23ae3ada38 (このIDを非表示/違反報告)
リーリエ - とっても面白いです！続き楽しみにしてます♪ (2018年8月15日 17時) (レス) id: e54f7d496b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんごあめ | 作成日時：2018年8月2日 0時
