45 気づけなかった ページ45
生徒会室の外に出ると私は壁にもたれかかった。
‘君は本当に覚えてない…？’
この言葉を発していた時の天祥院英智は…どこか辛そうで…寂しそうな目をしていた。
なんのことだろうか。全く身に覚えがない。
「A。用事は終わったのか」
『え？』
どうしてここにいるのだろうか。話しかけてきたのは大神先輩。生徒会室に入る前に先輩は帰ったはずだ。
『あの、どうして…？』
「すぐ楽屋まで来てくれねーか」
そう話す先輩は冷静そうに見えたがどこか焦っているようにも見えた。
『なにか…あったんですか？』
「行けばわかる」
『…わかりました』
そして私は大神先輩と楽屋に向かった。何があったんだろう。先輩は相当焦っているらしい、歩くのが少し早い。
そして無言のまま楽屋に到着。中が妙に騒がしい。
『…？』
楽屋で私が見たもの。
「朔間さん、大丈夫？水いる？」
「くまくん！なんで言わなかったの！？」
「あんずちゃん！そっちは連絡繋がった？？」
怒鳴りつけている瀬名先輩に目を逸らす凛月兄、そしてそれを不安そうに見ている後輩の男の子。
誰かに連絡を取ろうとしているあんず先輩と嵐ちゃん。
誰かに水を差し出している羽風先輩と隣には心配そうに見ている乙狩先輩。
そして羽風先輩と乙狩先輩に心配されていたのは楽屋のソファーで寝ている零兄だった。
何が起こっているのか分からない。思わず大神先輩を見る。
「…朔間先輩が倒れた。顔色がいつもより悪ぃんだよ」
『零…が』
すると楽屋が静かになった。
零兄と凛月兄以外が私を見ている。
凛月兄は私を見ない。
『…何があったか話してくださいませんか』
「Aちゃん、あのね」
初めに話してくれたのはあんず先輩。
ライブが終わって楽屋に戻ってきた瞬間、零は倒れた。いつもより顔色が悪かったらしい。
しばらく楽屋のソファーで休んでたようだが、私たちが来ると無理に起き上がって扉を開けたという。
そして私に続いて両親も楽屋を出ていくとまた零が倒れた。しかもさっきより顔色が良くなかったらしい。
『…この状況を見ると凛月兄は知ってたんだ？』
「…」
兄は黙ったままだ。小さなため息をつくと零兄の元へ向かった。
『…零兄、気づかなくて…ごめん。昨日も体調良くなかったんでしょ？保健室に零兄を渉兄たちが連れてきた理由が今…分かった』
さて、どうしようか。
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冬乃(プロフ) - よっ！ (2018年8月30日 18時) (
レス) id: db15aabe3a (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - 面白い作品で好きです！あと、12話で英智さんのあだ名がエッちゃんじゃなくてセッちゃんになってますよ? (2018年8月19日 21時) (レス) id: 23ae3ada38 (このIDを非表示/違反報告)
リーリエ - とっても面白いです！続き楽しみにしてます♪ (2018年8月15日 17時) (レス) id: e54f7d496b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんごあめ | 作成日時：2018年8月2日 0時
