43 逃げ出したい ページ43
なんて言って1人で楽屋を出たのはいいものの生徒会室の場所が分からない。
引き返すべきだろうか。いやいや。すると楽屋の扉が開いた。
「ん？何してるんだよ、こんなところで突っ立って」
『あ…大神先輩』
楽屋から出てきたのは大神先輩だった。
『…あの生徒会室まで案内してくださいませんか？』
私は何を言っているのだろう。考えるより先に口が動いた。先輩はライブ後だ。きっと疲れているだろう。
「ん？いいけど俺様でいいのか？吸…朔間先輩とか…」
『お、大神先輩が…いいんです』
もうどうにでもなればいい。
「…こっちだ、ついてこいよ」
ということで大神先輩に生徒会室まで連れて行ってもらうことに。なんか…本当にごめんなさい。申し訳ない気持ちになる。
「…」
『…』
沈黙が続く。なにか喋らないと。せっかくの機会なんだ。
『先輩、今日のライブ…カッコよかったです』
「…ありがとうな。Aはライブに来んの初めてか？」
『初めて…じゃないです。去年デッドマンズのライブを見に行ったのが…最初で最後でした』
そう言えば大神先輩もデッドマンズのメンバーなんだっけ。
「お前…来てたのか」
『…はい、兄から連絡があって』
あの時のことはあまり覚えていない。でも零兄が今日の零兄とは別人のようだったのははっきり覚えていた。
あの時の私もさっきの私みたい楽しんでたのかな。
「ここが生徒会室だ」
『あ…ありがとうございます』
あっという間だった。じゃあな、というと大神先輩は私に背を向けた。親切な人だ。
『…先輩、最後に一つ。いいですか？』
「ん？なんだ」
ここで伝えてしまったら…どうなるだろう。
…
『…これからも頑張ってくださいね。お、応援してますから…！』
「そうか、ありがとうな」
そう言うと大神先輩が行ってしまった。
心臓の音がうるさい。顔が熱い。フワフワしてる。
これはライブの余韻だろうか。それとも。
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冬乃(プロフ) - よっ！ (2018年8月30日 18時) (
レス) id: db15aabe3a (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - 面白い作品で好きです！あと、12話で英智さんのあだ名がエッちゃんじゃなくてセッちゃんになってますよ? (2018年8月19日 21時) (レス) id: 23ae3ada38 (このIDを非表示/違反報告)
リーリエ - とっても面白いです！続き楽しみにしてます♪ (2018年8月15日 17時) (レス) id: e54f7d496b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんごあめ | 作成日時：2018年8月2日 0時
