八月三十一日・2 ページ42
*
私は傍らにあったジュースを飲みつつ、そういえば、と思い出して小声で成田に問うた。
「ソーダあったの?」
「木下が確認に行ってる」
「今戻ったー……あ、勉強中か」
襖を開けた木下が、バリバリとシャーペンを動かしている馬鹿二人を見て声を小さくする。
私と成田は彼を見上げた。
「……あった?」
「……残念ながら」
「……うわー」
ソーダなかったら残念がるだろうなあ、西谷。今はそれどころじゃないっぽいけど。
まあ、終わった時にならご褒美くらいあったっていいよね。
「私買ってくるよ」
「いや、Aは二人の勉強見てなよ。……というより見ててあげて」
「俺らで買ってくるからさ」
立ち上がった成田と、鞄を拾ってくる木下が交互に言う。
ちっバレたか。おつかいにかこつけて縁下に全部押し付けようと思ったのに。
「えー私も行きたあぐっ」
「Aはこっちな」
「縁下の鬼!」
むくれるけど知らんふりされる。諦めて田中にちょちょいとアドバイスする。
じゃあちょっと行ってくる、と部屋を出た木下と成田。残ったのは四人になった。
ジュースの表面で、浮いている氷がカランと音を立てる。東京は東京で暑かったけど、宮城も宮城で十分暑い。
「あー終わんねえ……」
「龍! ココには力とAの解答があるじゃねえか、まだ諦めんな!」
「あ、そういうのなしね」
「馬鹿なこと言ってないでさっさとやる、ほら」
「はい……」
しょぼんと座る西谷。諦めたように問題文をブツブツと読み始める。
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スマトラ島のラフレシア(プロフ) - ★マチャキ★さん» 好きだったらだいたい書いてますよー。 (2016年7月20日 19時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
★マチャキ★ - 照ちゃんあった!! (2016年7月19日 20時) (レス) id: a549331ee4 (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 彗華@京都へ行きたい (元:凰華)さん» そしてお察しの通り、及川さん大好きです。色々書きたくなるので、最初と最後に入れてるだけなんですけどね。前作も前々作も読んでくださってありがとうございます!更新頑張ります!! (2016年4月18日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 彗華@京都へ行きたい (元:凰華)さん» コメントありがとうございます!とんでもない、長文コメント最高に嬉しいです…!!私も実は「この続き書きたいなぁ」なんて毎回思ってまして、うーん……したい、ですねぇ……(笑) (2016年4月18日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
彗華@京都へ行きたい (元:凰華)(プロフ) - 前作、前々作を見て思ったのですが【及川さんで始まり及川さんで終わる】というループみたいなものが出来ているように感じました。作者様は及川さんが好きなのでしょうか?更新頑張ってください。応援しています!(長くなってしまいすみません) (2016年4月17日 22時) (レス) id: 4e64820097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年4月14日 18時