【岩泉一】銀色の指輪・1 ページ28
※一作目(あの日)に載せた「大好きと言える時」と同じ夢主です。
*
ある月曜日のことだった。
課題に煮詰まったという一ちゃんを部屋にあげて、しばらくは教えながら私も勉強していたんだけど、そのうち飽きてしまって自分の部屋を物色していたのだ。
途中本棚にあった本が引っくり返ったりもして、部屋は少し散らかっていた。
「あ〜……A、ここ」
「んー? そこは四行目」
「え? ……ああ、そうか。分かった」
「ん」
一ちゃんは分からなくなると聞いてくる。でも、それは本当に進めなくなった時だけ。
それだけ聞いてくるなら、徹の方でもいいんじゃないの? と冗談っぽく言ってみた時もあるけど、そしたら真顔で及川はウザいからと言われた。残念だったね徹。
なるほどなあ、と思っていたら、一ちゃんはこう付け加えた。「それに、Aに教わる方がいい」と。
その時の私の状況なんて説明するまでもない。感動して震えたからね。勢いで「はっじめちゃん!!」と抱きつこうとしたらサッとよけられた。
そんなこんなで、私は一ちゃんに英語を教えつつ、たまに他の教科も混ざり、ささやかな勉強会をしていた。
勉強してるのは一ちゃんだけだけど。
*
「ここにあった気がするんだけどなあ……」
「さっきから何探してんだ?」
「あー、ん、ちょっとね」
首を捻った一ちゃんには、曖昧に笑う。
いつどこで消えたか知らない安物のシャープペンシルだし、探そうかと思い立ったのもついさっき。
本音は、勉強に飽きたのと(大体はわかるんだけどね)、ずっと一ちゃんの隣に座るのは、なんだか落ち着かなかったから。
昼食の時に、私が一ちゃんの隣に座らないのと同じ理由だ。隣に座ると、落ち着かないというか、変な感じというか、まあ、……距離の近さにどうしたらいいかわからない。
だから探し物でもして気を紛らわせようとしたのだ。
勉強机の引き出しを最大まで開け、顔を近付けて中身を確認する。
何もないか、と思ったら、奥の方に光るもの。何だろう?と思って手を伸ばす。
シャープではないと思ったら、案の定、……でも、なかった。
「…………あ」
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スマトラ島のラフレシア(プロフ) - ★マチャキ★さん» 好きだったらだいたい書いてますよー。 (2016年7月20日 19時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
★マチャキ★ - 照ちゃんあった!! (2016年7月19日 20時) (レス) id: a549331ee4 (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 彗華@京都へ行きたい (元:凰華)さん» そしてお察しの通り、及川さん大好きです。色々書きたくなるので、最初と最後に入れてるだけなんですけどね。前作も前々作も読んでくださってありがとうございます!更新頑張ります!! (2016年4月18日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 彗華@京都へ行きたい (元:凰華)さん» コメントありがとうございます!とんでもない、長文コメント最高に嬉しいです…!!私も実は「この続き書きたいなぁ」なんて毎回思ってまして、うーん……したい、ですねぇ……(笑) (2016年4月18日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
彗華@京都へ行きたい (元:凰華)(プロフ) - 前作、前々作を見て思ったのですが【及川さんで始まり及川さんで終わる】というループみたいなものが出来ているように感じました。作者様は及川さんが好きなのでしょうか?更新頑張ってください。応援しています!(長くなってしまいすみません) (2016年4月17日 22時) (レス) id: 4e64820097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年4月14日 18時