EP2.月の首飾り〈1〉 ページ13
「梓さーん、向こうの食器片付けてもらえますか?」
「はーい、今行きますね」
梓と呼ばれる女性に声を掛けたのは安室透。彼は現在喫茶ポアロでアルバイトをしている。一緒に働いている女性は榎本梓だ。
お昼時になり、客が増えてきて店も忙しくなってきていた。2人は忙しそうに動いていた。
それから数時間が経ち、お店の空いてきた頃梓に声を掛けた客がいた。
「それにしても、ポアロに飾ってあるこの花は綺麗だなぁ。梓ちゃんが用意してるのかい?」
1人の客がカウンターに置いてある花瓶に飾られている花を見ながらそう言った。
「そうなんですよ〜、とっても綺麗ですよね。このお花はポアロの近くの花屋さんで買ったんですよ」
梓は花瓶に飾られている花に手を添えながら答えた。
「もう1つの花瓶にはまだ何も飾られていないが……これから飾るのかい?」
花が飾られている花瓶の隣には買ったばかりであろうもう1つの花瓶が置いてあった。
「ええ、今週の水曜日に新しい花を受け取りに行く予定なんです」
梓の話に疑問を持った安室は台所から声を掛けた。
「今週の水曜日……それって今日ですけど、大丈夫なんですか?」
「うそ!!いけない、どうしよう……神崎さんにはお昼に取りに行くって言っちゃったし……」
どうやら梓は曜日を勘違いしていたようだ。落ち込んでいる梓を見て安室は「うーん……」と考えた。
「それなら、僕が今から受け取りに行ってきましょうか?花屋って確かここからそう遠くはないですよね。走って行けばすぐだと思いますよ」
安室がそう言うと梓は驚いたような、どこか焦っているような表情をした。
「ええ!?そんな、悪いですよ。それなら、私が行ってきますよ!近道も知ってますし、私こう見えて結構体力あるんですよ。安室さんにはお店の方をお願いしたいです」
慌てるようにそう答える梓に安室は少し疑問に思う。だが、いつも受け取りに行っているのは梓だったので適任だろうと判断した安室は、「それじゃあ、お願いしてもいいですか?」と言った。
「はい、任せてください。すぐ戻りますね、少しの間お願いします」
そう言うと梓はすぐさま飛び出して行った。その様子を見てカウンターに座っていた客は微笑ましそうに笑った。
「梓ちゃんは今日も元気だね。彼女を見ていると元気をもらえるよ」
笑顔でそう言う客を見て安室もつられて笑顔になる。
「ええ、そうですね」
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唄海(プロフ) - プスメラウィッチさん» プスメラさん初めまして、コメントありがとうございます!オチは今のところまだ未定です。五条オチもいいですね!考えさせていただきますね。応援よろしくお願いいたします! (2022年7月31日 12時) (レス) id: 7262bd6081 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2022年7月24日 20時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:唄海 | 作成日時:2022年6月5日 18時