君が何もかも見えなくなるその前に【太宰治】

8：どうにもならないこともある世の中 ページ8

真っ赤な血が着いた書類は届けられない。服は仕方ない。戻るとみんなビックリしていた。


「あはっ、突然鼻血が出ちゃってー。ビックリですよー。」



ヘラヘラとして貼り付けたへらっと笑うのはもう慣れた。今思えば昔はこんなんじゃなかったな、と思った。もう少し人間らしかった気がする。



「全く…気を付けろよ。」

「原仲くんはホントに不思議だなあー。」

「大丈夫ですか！！」



となる中、与謝野さんだけは複雑な悲しそうな顔をしていた。



「与謝野さあーん、たかが鼻血如きでそんな顔しないでくださいよー。」



みんなに異常じゃないとバレちゃうじゃないですかあー。



はぁ…今日の件でまた薬増えちゃうや。今日の帰りにまた病院行かなきゃね…。最近吐血の量と頻度が増えてきた…そろそろホントにヤバいのかもしれないって…思い始めた。
まだやりたいこと…残したことたくさんあるのに…出来ずに死んじゃう？



思うことや考えることなら簡単なんだよ。ただ…人形みたいに顔や口は動かない。ロボットのように言葉をタダ紡ぎ発するだけ。
自分の心の奥なんて知らない。築けるはずないでしょ？嫌ということ好きと言うのは分かる。けど、本心は分からないの。




「あーあ、帰る時どーしよう。こんなんじゃ怪しまれちゃうや。」




あくまでも気丈に…明るくするんだ。ヘラヘラとして、顔は貼り付けたようにへらっと笑い周りには悟られないように…。




あぁ、そうか…私がロボットみたいになったから…






太宰くんは私のことを嫌いになったんだ。

9：どうかしてるのは貴方じゃなく私→←7：後悔は出逢ったこと？

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す