26:胸が苦しくなる理由 ページ26
「はぁ…何とか乗り切った…。あと半年…どうしよう…。」
初夏を迎えてから半年…季節は冬になっていた。身体は怠くて、胸はどんどん痛くて苦しく辛くなる。息するのも辛い。そう考えると…もう少しで死んじゃうんだなぁーって思った。
「まぁ、半年経ちましたから…仕方ないことですからねぇ…。」
延命治療…今からしたらどれくらい伸びる?
「Aッ!!」
「え?」
ふわりと懐かしい声と共に包まれた。懐かしい香りが鼻を擽る。
「太宰…くん…どうして?」
「君が!!半年って言ったんだろう!!なんでこんな大切なこと話してくれなかったんだ!!」
「え…太宰くん…でも…。」
「与謝野先生が教えてくれた。」
与謝野さん…言っちゃったんだ…。覚えてたんだ…。
私から離れた太宰くんの顔は涙でぐしゃぐしゃ…、整った顔が台無しだよ…?
「ごめん…なさい…。」
「教えてくれたら…あんな馬鹿げたことしなかったのに…。もっと君との時間…大切にしたのに…。」
「全部…与謝野さんから聞いたんだね…太宰くん…。」
「突然いなくなって…。全く…どれだけ心配したか…。」
もう一度私を抱き寄せる。その時は強く強く抱きしめてくれた。太宰くん…私のこと…
「太宰くんは…私のこと…嫌いなんじゃ…。」
「そんなわけないだろう!!」
私の頬を…顔を手で包んで
「君のことを嫌いになったことなんて…今まで1度もない!!君と出会ってからずっと君しか見えない!!君しかいない!!君だけだよ!!」
なぁーんだ…太宰くんは…まだ、私を想ってくれてたんだ…。嫌って…なかったんだ…そっか…。
「良かった…良かったよぉ…。」
安心も束の間…涙と一緒にまた…
「うっ…ガホッ、ゲホッ、グフッ!!」
「A!!」
口を抑えて急いで桶に血を吐く。
「あはっ…ビックリ…した?」
「ねぇ、もうこんな時にそんな顔しないで?苦しいなら言って?辛いなら言って?痛いなら言って?」
「太宰くん…痛いよ…辛いよ…苦しいよぉ…。こんなんなら…早くいなくなりたい…解放されたいよぉ…。」
「バカっ…そんな事言わないでよ…。」
ドキドキ…ズキズキ…痛くて苦しく辛いのは…。貴方に会えたから?それとも…病状の悪化が原因?
「息するのが嫌になるの…痛いの…もうやだよ…。やだよ…太宰くん…。」
生きるのが辛くて苦しく痛いんだ…。
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人生楽しんだもん勝ち - めちゃくちゃ泣きました、こんなに泣いたのは久しぶりでした。素敵な作品をありがとうございます。 (2021年8月3日 14時) (レス) id: 0301fd6d5d (このIDを非表示/違反報告)
シュメール人 - なんか、、やばい、、、、、 (2021年5月18日 1時) (レス) id: b636df43a5 (このIDを非表示/違反報告)
星 - コメント失礼します。凄く感動しました。素晴らしい作品を有難うございます。 (2020年5月4日 18時) (レス) id: 43b5f5b23e (このIDを非表示/違反報告)
あいり(プロフ) - 占ツクみて何年も経ちますがこんなに泣いたの初めてです…最高の作品でした!!本当にありがとうございました。 (2020年5月3日 23時) (レス) id: 0ebbee04e8 (このIDを非表示/違反報告)
華 - 泣きすぎてやばいです!呼んでいた1時間があっという間でした!本当にありがとうございました! (2020年1月4日 2時) (レス) id: 29d08050fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中二半の彼女は霜月さん | 作者ホームページ:
作成日時:2019年7月6日 2時