検索窓
今日:70 hit、昨日:18 hit、合計:423,119 hit

21:何がどこか美しく見えたのか ページ21

「おはようございます。」

「おぉ、太宰やっと来たか。」



いつもなら怒る国木田くんが怒らない。何故だろうか…。



「それよりも太宰…原仲はどうした。」

「え?A来てないの?彼女は私より先に出て行ったはずだよ?出勤してるはずだよ?」



けど、席には彼女はいなかった。それどころか…




「机が綺麗…。」




彼女の物が何一つなく片付けられていて、最初から誰もいないかのように…綺麗さっぱりなくなっていた。



「誰もAのこと知らないの?」

「知らないから聞いてるんだろう。お前は原仲の恋人だっただろう?」

「そりゃあ…そうだけど…そうなんだけど…そうだったけど…。」




何も聞いてないよ…。別れたから…会いたくないの?



「私も何も聞いてないよ…。」




聞いてたら止めてるし、あんなこと言ってない。





「探してくる…。」




来て早々の探偵社を飛び出した。





頭を過ぎり巡るのは、別れる前の想い出たち。私が自さつしようとして失敗したり、ただ川を流れてたりすると必ず探しに来てくれた。




「太宰くんみーつけた。大変だったんだよー?ほら、帰ろう?今日は早く出すもの終わったから…買い出しでもしてからにしよっか。」

「何食べたい?太宰くんは濡れちゃったから寒いかなあ…じゃあ、温かいものにしようかー。お鍋は時期外れだよね。うーん、じゃあポトフにしよう!!
太宰くんは私の作るポトフ喜んでくれたもんねー。」


ヘラヘラして…何があってもへらりと笑う癖…大好きだよ。どんな笑顔でも良いんだよ…君が側にいるのが分かるから…。
フワッとのほほんとヘラヘラと…そんな君が1番だった。
日々の何気ない君の言葉が、私の胸の中に溶けてゆく。



「あー、また流れてたんだねー。」

「今日はココだったんだねー。あ、大丈夫?手伝おうか?身体痛くない?」

「太宰くーん大丈夫ー??」

「あーあー、小さいかもしれないけど私の上に羽織って。冷えるよりもマシだよ?」




こんな当たり前のことに気づかないなんて…遅すぎたことにもっともっと後悔した。

22:まるで月明かり→←20:誰よりもきっと絶対愛してるよ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (421 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
782人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

人生楽しんだもん勝ち - めちゃくちゃ泣きました、こんなに泣いたのは久しぶりでした。素敵な作品をありがとうございます。 (2021年8月3日 14時) (レス) id: 0301fd6d5d (このIDを非表示/違反報告)
シュメール人 - なんか、、やばい、、、、、 (2021年5月18日 1時) (レス) id: b636df43a5 (このIDを非表示/違反報告)
- コメント失礼します。凄く感動しました。素晴らしい作品を有難うございます。 (2020年5月4日 18時) (レス) id: 43b5f5b23e (このIDを非表示/違反報告)
あいり(プロフ) - 占ツクみて何年も経ちますがこんなに泣いたの初めてです…最高の作品でした!!本当にありがとうございました。 (2020年5月3日 23時) (レス) id: 0ebbee04e8 (このIDを非表示/違反報告)
- 泣きすぎてやばいです!呼んでいた1時間があっという間でした!本当にありがとうございました! (2020年1月4日 2時) (レス) id: 29d08050fc (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:中二半の彼女は霜月さん | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年7月6日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。